2006 Fiscal Year Annual Research Report
衛星海面高度計と漂流ブイを用いた北太平洋海面流速場に関する研究
Project/Area Number |
05J06040
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
安倍 大介 九州大学, 応用力学研究所, 特別研究員(PD)
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Keywords | 衛星海面高度計 / 漂流ブイ / 海面流速場 / 軌道沿い流速 / 黒潮大蛇行 / 海底地形 |
Research Abstract |
本研究では、衛星海面高度計と漂流ブイから推定した海面流速場を用いて、日本南岸の黒潮流軸の変動や、それに伴う海面流速の変動との関連性を明らかにすることが目的である。本年度ではまず、2004年の黒潮の大蛇行遷移について、紀伊半島沖の膠州海山による大蛇行遷移への影響の詳細を調べた。Endoh and Hibiya(2001)による力学的な数値モデル結果は、膠州海山の影響を考慮したケースが、本研究での黒潮流軸位置をと最も変動が一致しており、この海山が黒潮大蛇行の遷移の一因になっている可能性が極めて高いことが明らかになった。この黒潮大蛇行は2005年の6月に終息したが、終息期の2005年の3月には、伊豆海嶺の東方から強い低気圧性の渦が黒潮の蛇行部分に接近し、伊豆海嶺付近の流軸が不安定になった後に、非大蛇行離岸流路に遷移したことが分かった。しかし一方で、紀伊半島沖の流軸は同じ時期(3月)から接岸方向に単純的に移動しており、紀伊半島より上流側の黒潮変動の信号にも大蛇行終息の原因がある可能性が示唆された。次に、2004年における大蛇行遷移期の小蛇行の変動について、衛星軌道沿いのデータを用いてさらに詳しく調べた。その結果、小蛇行の四国沖での発達に伴って、黒潮の内側域で強い西向きの反流が発生し、その後黒潮が大蛇行に遷移する直前には、この反流がなくなり東向流となっていた事が分かった。このときの四国南岸の潮位は、東向流の発生時期に20cm程度減少しており、地衡流の関係からも矛盾しない結果となった。過去(1960〜1992年)の大蛇行遷移期の小蛇行について、海洋速報(海上保安庁発行)の流路情報を基に潮位変動を調べた結果、全5ケース中3ケースにおいて、黒潮が大蛇行に遷移する直前に同程度の潮位の減少が見られ、大蛇行遷移との因果関係について今後の議論の対象となることが期待された。
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