2005 Fiscal Year Annual Research Report
3本鎖認識コードの拡張を目的とする人工ヌクレオシドの創製
Project/Area Number |
05J06059
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
谷口 陽祐 九州大学, 大学院・薬学研究院, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 3本鎖DNA / 非天然型核酸誘導体 / 3本鎖形成障害部位 / アンチジーン / 遺伝子標的 |
Research Abstract |
非天然型3本鎖DNAの形成を目指して、ビシクロ型人工核酸(WNA)の認識塩基部分と芳香環部分を変換した新規WNA誘導体の合成を行った。この人工核酸を3本鎖形成オリゴヌクレオチドに導入し3本鎖形成能の評価をゲルシフトアッセイにより評価した。芳香環部分に臭素を導入したοBr-WNA-βTとmBr-WNA-βTによりこれまでに報告したWNA-βTでは安定化できなかった配列で3本鎖形成障害部位であるTA塩基対の認識に成功した。このことにより、WNA誘導体に隣接した塩基を変換した4種類のすべての配列でTA塩基対の認識が可能になり、3本鎖認識コードの拡張に成功した。また、3本鎖錯体中におけるWNA-βTによるTA塩基対の認識様式の解明を目指し、NMRサンプルの合成を行った。このサンプルは分子内で3本鎖DNAを形成できるようにヘキサエチレングリコールリンカーにより2本鎖DNAおよび3本鎖形成オリゴヌクレオチドを連結した。このサンプルは融解温度の測定および一次元NMR測定により3本鎖DNAの形成が観測された。さらに、ガン遺伝子転写阻害実験としてc-myc遺伝子を標的として行った。c-myc遺伝子のプロモーター領域の上流部に3本鎖DNAを形成するようにアンチジーンオリゴを設計し合成を行った。WNA-βTを含むアンチジーンオリゴは天然型で構成されるアンチジーンオリゴよりも、安定な3本鎖DNAを形成できることが明らかになった。そこで、c-myc遺伝子が過剰発現しているRaji細胞とアンチジーンオリゴ(3'末端をプロピルアミノリンカーにて修飾している)混合しMTTアッセイにより細胞増殖阻害能を評価したところ、WNA-βTを含むアンチジーンオリゴは天然型のオリゴよりも効果的に細胞増殖阻害活性を示した。
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