2005 Fiscal Year Annual Research Report
生細胞内酵素反応系の有する分子認識能を利用した機能性分離支持液膜の創製
Project/Area Number |
05J06065
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
都 英次郎 九州大学, 大学院・工学研究院, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 酵素 / 支持液膜 / 光学分割 |
Research Abstract |
混合物の中から目的物質を迅速かつ高選択的に分離する技術は、強い社会的・産業的要請があり、古くから数多くの研究がなされている。分子のサイズで物質を分離する「分子ふるい」の分離膜に関する材料工学的研究は完成されつつあるが、似たようなサイズで異なる性質を有する物質を効率的に分離する膜材料の開発は立ち後れている。実際、サイズが同程度で異なる性質を有する物質の分離を怠ったために、薬害等の社会的問題が起きている。つまり分子のサイズではなく、その分子構造の違いにより分離する膜材料の開発は、工学的価値が高いと言える。 分子構造の違いにより分離する分離膜として、支持液膜という手法が1970年代に提案されている。これは有機溶媒を含浸させた高分子膜に分子認識機能を有する低分子化合物(代表例としてカリックスアレーンやクラウンエーテルなどの抽出剤)を溶かし込み、金属イオンやアミノ酸を選択的に補足・分離するというものである。しかしながら、これまでの支持液膜は、次のような多くの問題点を抱えていた。 (1)基本的には金属イオンやアミノ酸のみを分離対象としており、有機化合物の分離は困難、 (2)十分な選択性や物質輸送能が得られない、 (3)揮発性のある有機溶剤を支持液膜中の溶媒に使用するために液膜の長期安定性に乏しい。 一方、酵素は高い基質特異性や高いエナンチオ選択性を有する。特に、リパーゼ(脂質分解酵素)やプロテアーゼ(タンパク質分解酵素)は、その基質特異性あるいはエナンチオ選択性を生かし、合成反応や加水分解反応における有用な生体触媒としてこれまで数多くの研究が成されている。そこで本研究では、これらの酵素の高い分子認識能を支持液膜に組み込むことで、様々な有機化合物(有機酸・アミノ酸)に対する高選択的かつ迅速な物質輸送能を有する機能性分離支持液膜を構築した。
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Research Products
(2 results)