2005 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
05J06104
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
有木 茂 九州大学, 大学院・理学研究院, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 自然免疫 / リポ多糖受容体 / G蛋白質 |
Research Abstract |
カブトガニ顆粒細胞は、グラム陰性菌の表層成分であるリポ多糖(LPS)に鋭敏に反応し、顆粒内の生体防御蛋白質を体液中へ分泌する。この分泌反応には、細胞質に存在する三量体G蛋白質が関与していると推定されていたが、細胞表面のLPS受容体をはじめ、詳細な分子メカニズムに関しては不明なままであった。そこで本研究では、LPS認識およびシグナル伝達に関与する分子の同定を目的として研究を行なった。 顆粒細胞表面には、LPSにより活性化されるプロテアーゼFactorCが存在する。さらに、顆粒細胞表面には、LPSによって活性化された活性型FactorCによって切断を受け、そのシグナルを細胞質内のG蛋白質に伝達するG蛋白質共役型受容体(Proteinase activated receptor : PAR)が存在していると推定される。これまでに、RT-PCRによりカブトガニ顆粒細胞のcDNAからLPSシグナルの伝達に関与すると推定される三量体G蛋白質のαサブユニット(Giα)のクローニングに成功した。 一方で、LPSにより誘起される分泌反応によって体液中に分泌される抗菌ペプチドTachyplesinが、分泌反応の増幅に関与していることを明らかにした。シグナル伝達の阻害剤を用いた実験から、TachyplesinはLPSと同様に三量体G蛋白質を介したシグナル伝達経路によって分泌反応を誘起すると推定される。表面プラズモン共鳴センサーを用いた解析では、TachyplesinはG蛋白質と直接相互作用する。したがって、Tachyplesinは受容体非依存的に三量体G蛋白質を活性化することで、顆粒細胞の分泌反応を増幅していると考えられる。Tachyplesinによる分泌反応増幅に関する研究は、学術誌FEBS Journalに報告した。
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Research Products
(1 results)