2006 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
05J06104
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
有木 茂 九州大学, 大学院理学研究院, 特別研究員(PD)
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Keywords | 自然免疫 / リポ多糖 / パターン認識 |
Research Abstract |
カブトガニの顆粒細胞は、グラム陰性菌のリポ多糖(LPS)に鋭敏に反応し、顆粒内の生体防御蛋白質を体液中へ分泌する。この分泌反応は、細胞質に存在する三量体G蛋白質を介したシグナル伝達によって引き起こされることが推定されていたが、詳細な分子メカニズムは不明なままであった。そこで本研究では、LPS認識およびシグナル伝達に関与する分子の同定を目的として研究を行なった。 前年度までに、この分泌反応に関与すると考えられるG蛋白質のαサブユニット(Giα)2種類のcDNAクローニングに成功した。これらの分子がLPSシグナルの伝達に関与していること確かめるために、カブトガニ顆粒細胞を用いたRNAi実験系を構築した。実験の結果、2つのGiαのうちのひとつ(Giα1)をノックダウンすると、顆粒細胞のLPSに対する感受性が低下する結果が得られた。 一方、顆粒細胞表面にはLPSによって活性化されるプロテアーゼ前駆体(C因子)が存在しており、LPS受容体として機能していると考えられている。C因子に対する抗体で顆粒細胞を免疫染色したところ、顆粒細胞の特定の領域がパッチ状に染色された。この結果は、C因子がコレステロールを介してマイクロドメインに結合しているという、これまでの仮説を強く支持するものである。 前年度に報告したTachyplesinによる顆粒細胞の分泌反応増幅機構を含め、本研究ではカブトガニ顆粒細胞によるリポ多糖認識の分子基盤を解明することができた。
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Research Products
(2 results)