2005 Fiscal Year Annual Research Report
PRIPファミリータンパク質の機能解明に関する研究
Project/Area Number |
05J06126
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
倉谷 顕子 九州大学, 大学院・歯学研究院, 特別研究員(DC2)
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Keywords | GABA_A受容体 / PRIP / ノックアウトマウス / ジアゼパム |
Research Abstract |
GABA_A受容体はヘテロ5量体のクロライドチャネル型受容体である。これを介した情報伝達系は中枢神経における主要な抑制性神経伝達機構の1つで、不眠、不安、痙攣、てんかんなど複雑な脳・精神機能を形成する分子基盤の一角をなしている。我々は、研究室で発見した新規のIns(1,4,5)P_3結合性タンパク質(PRIP-1/2)の解析を進める過程で、この分子の欠失はGABA_A受容体のγ2サブユニットを介する情報伝達に異常をきたすことを明らかにした。このPRIP分子のいわゆる「GABA_A受容体の一生」への関わりについて、下記の新たな知見が得られた。 1 GABA_A受容体に結合する種々のリガンドを用いた結合実験の結果、幼若PRIP-1/2ダブルノックアウトマウス(DKO)の神経細胞表面におけるベンゾジアゼピン結合部位(α/γ2サブユニット)の数が少ない一方、GABA結合部位の数(α/βサブユニット)の数はやや増加していた。それぞれのリガンドに対する親和性に変化は認められなかった。 2 電気生理学的にも、DKOマウスの細胞はジアゼパム感受性が低かったが、一方GABAに対する感受性に変化は認められなかった。 3 行動学的解析の結果、DKOマウスの自発運動量は野生型と比較して低いことが明らかになった。高架式十字迷路試験を行ってDKOマウスに対するジアゼパムの抗不安作用を検討したところ、DKOマウスはジアゼパムに対する感受性が野生型と比べて著しく低かった。 以上のことから、DKOマウスの神経細胞表面においてはGABA_A受容体のγ2サブユニットの発現量が低下しており、それによってジアゼパム感受性が低下していると考えられる。PRIPは、γ2サブユニットを含む受容体の細胞膜表面への輸送を調節していると考えられる。
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Research Products
(2 results)