2005 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
05J06146
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
上野 加奈子 九州大学, 大学院・農学研究院, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 寄生蜂 / 蔵卵数 / 産卵経験 / 寄主摂食 / 体サイズ / 肥満度 / 卵生産 / Itoplectis naranyae |
Research Abstract |
アオムシヒラタヒメバチの卵生産パターンの調査 産卵経験は卵生産に影響を及ぼし、また、蔵卵数は学習行動に影響を及ぼす事から、産卵衝動の推定を行う為、卵生産パターンの調査を行った。 1.産卵経験が卵生産に及ぼす影響を調査を行った。 実験区は; A:羽化後3日目から10日間毎日寄主摂食をさせず産卵のみ行う群、 B:全く寄主を与えられない群、 C:羽化後8日目に寄主体液のみ摂取させるが、寄主自体は与えず産卵もさせない群。 の3群間で比較を行った。 その結果、産卵した日数が多いほど総産卵数が多かった。寄主体液摂取なしという条件では、羽化後3日目の体重を前翅長で割った肥満度の高い個体の方が、総産卵数が多かった。また、寄主摂食のみでは、卵生産に影響はせず、卵生産の活性化には産卵が必要だという事が明らかになった。しかし、寄主摂食なしで産卵を続けると、幼虫期に獲得した栄養を使い切ってしまう為、3群間の保有成熟卵数・未成熟卵数に差はなかった。A群の、10日間の産卵パターンは、羽化後7日目にピークを迎え、以後減少する事がわかった。このパターンは、産卵未経験のメスの保有成熟卵数の推移と一致した。また、寄主摂食を行った個体の保有成熟卵数が多い事から、高水準での卵生産を維持する為には、寄主摂食が不可欠である。産卵開始事時期には、個体差があったが、原因はわからなかった。 2.次に、A群とB群を羽化後9日目に解剖した(A群の産卵期間は6日間)。 その結果、早く産卵をはじめると、多くの卵を保有し、体サイズの大きい個体ほど多くの卵を保有するという結果が得られた。寄主に自由に産卵・摂食出来る群と比較を行うと、体サイズの影響を考慮しても、寄主摂食を行った群の保有成熟卵数は産卵はさせ寄主摂食させなかった群に比べ、約2倍であった。
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