2006 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
05J06146
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
上野 加奈子 九州大学, 大学院農学研究院, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 寄生蜂 / 保有個数 / 産卵経験 / 経験 / 情報 / 卵生産 / 採餌行動 / 学習 |
Research Abstract |
アオムシヒラタヒメバチの卵生産を促す要因の調査 前年度の研究で、アオムシヒラタヒメバチは産卵経験の豊富さに応じて保有している卵の数を調節しているという結果が得られたが、その卵調節に関わる要因は産卵のみなのかを更に調査した。 本種は、産卵という経験のみで、栄養の追加摂取がなくとも卵生産を活性化することを既に明らかにしたが、本年度に行った追加操作実験より、同種他個体が羽化したあとの空の寄主を攻撃する事でも保有卵数が増加するという結果が得られた。空の寄主には遭遇したが、産卵管を用いて攻撃しなかった個体については保有卵数が増加しなかったため、産卵管への刺激が卵生産活性化の鍵となる事が明らかになった。この寄主の情報のみで卵生産が活性化されうという現象は、寄生蜂では始めての知見である。 アオムシヒラタヒメバチは一度に保有できる卵は比較的少数で、かつ卵生産に時間がかかる為、産卵できない寄主に遭遇し攻撃した場合でも、周辺環境に利用可能な寄主がある事を予測して、卵生産を活性化し保有卵数を増加させるという特徴が進化したのだと思われる。 雄の寄生蜂のオペラント学習 寄生蜂の学習行動のほとんどすべての研究はメス蜂を使って行われている。本研究ではオス蜂を用い、餌に付随する情報を学習するかどうかを調査した。実験は、オス蜂がかろうじて通れる太さのストローの中に餌を置き、その餌を得る為に「スロトーの中に入り餌を得る」というオペラント条件づけの手法を用いた。 その結果、オス蜂はストロー内の餌のある場所を学習し、餌のついていないストローの中に入って餌を探す行動をとった。これは、雄の寄生蜂にも学習能力があると示した、数少ない研究の一つであると同時に寄生蜂におけるオペラント学習の存在を単純な道具を用い示した例である。 餌の場所、餌を得る為にスムーズにストローの中に入るという動作を習得する事から、オペラント学習が採餌効率向上に関与している可能性を示唆している。
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Research Products
(3 results)