2006 Fiscal Year Annual Research Report
アセトン、ブタノール菌のエレクトロンフロー制御系に関する研究
Project/Area Number |
05J06152
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
中山 俊一 九州大学, 農学研究院, 特別研究員(PD)
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Keywords | アセトン・ブタノール菌 / Clstridium属細菌 / hydrogenase / 転写制御機構 |
Research Abstract |
Clostridium saccharoperbutylacetonicum N1-4(以下N1-4)は対数増殖期において有機酸、定常期にアセトン、ブタノールといったソルベントを生成する特異な代謝転換機構を有する。先の研究により、ソルベント生成期特異的に発現する取込型ヒドロゲナーゼhupCBAが高ブタノール生産に関与することを明らかにしてきた。そこで、hupCBAの転写制御機構を明らかにするとともに、取込型ヒドロゲナーゼhupCBAを利用した育種株の構築を目的とした。 hupCBAのプロモーター領域は大腸菌σ^<70>のコンセンサス配列と相同性を示したことから何らかの転写因子により制御を受けることが示唆された。シーケンス解析から転写開始点とSD配列の間にcre配列が存在しておりCcpAによる制御を受ける可能性が示唆された。His-Tag融合CcpAを調製し、ゲルシフトアッセイによりその結合能を調べたが、特異的な結合は確認されなかった。そこで、hupCBAプロモーター周辺領域を用いゲルシフトアッセイを指標としN1-4粗抽出液より転写因子の取得を試みた。その結果、N1-4粗抽出液をDEAE-Sepharose、Heparin、DNA-affinityによる精製を行ったところ、14kDaのhypothetical proteinを取得した。本タンパクは、保存されたドメインは見られなかったが、上流に胞子形成、染色体複製に関わる遺伝子発現を制御するspo0Jが存在しており、転写制御機構に関与することが示唆された。 また、ソルベント生成能を欠失した退化株にHupCBAを新規に構築したシャトルベクターを用いて発現させたところ、ソルベントの生成能が回復した。このことから、ブタノール生産にHupCBAが重要であり、エレクトロンフロー制御が新規な分子育種法となりうることを示した。
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Research Products
(3 results)