2005 Fiscal Year Annual Research Report
高分子リグニン酸化能を有するペルオシダーゼの機能解析と細胞壁の構築機構の解明
Project/Area Number |
05J06161
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
佐々木 慎弥 九州大学, 農学研究院, 特別研究員(DC2)
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Keywords | ペルオキシダーゼ / 細胞壁 / プロテオミクス / リグニン生合成 / ストレス応答 / ゲノミクス |
Research Abstract |
植物ペルオキシダーゼは巨大なスーパーファミリーを形成していることが知られており、高分子リグニン酸化能を有するペルオキシダーゼアイソザイムCWPO-Cと同様、リグニン合成に関わるアイソザイムも他にいくつかあると予想される。その根拠として、CWPO-Cタンパクはリグニン含有率が高い細胞間層に局在するものの、2次壁には観察されなかったことから2次壁特異的なアイソザイムが存在すると考えられる。そこで、我々はポプラの全ペルオキシダーゼアイソザイムの生理機能を同定するためにプロテオーム解析を実施した。 我々は米国エネルギー省で進められているゲノムプロジェクトPopulus trichocarpaの全ゲノム塩基配列からperoxidase遺伝子を検索することから開始し、現在までに83個から形成されるperoxidase protein database(PO1〜PO83)を構築した。次いで、peroxidase databaseを駆使し転写及び翻訳の両面からperoxidase isoenzymeの発現制御を明らかとする研究を開始した。定常条件のポプラ各組織に発現しているタンパクを抽出し、Concanavallinカラムにより糖タンパクを分画し2次元電気泳動に供した。各組織ともにpI4.0-4.3の酸性領域にペルオキシダーゼアイソザイムが複数同定されたが、各組織で発現しているアイソザイムの構成は異なっていた。特に、木部に関しては他の組織には見られないペルオキシダーゼアイソザイム2つあり、そのうちの1つがPO35であると同定された。PO35について転写解析を実施したところ、ストレス誘導性は観察されず細胞壁構築系と考えられる恒常的発現特性をもちリグニン生合成への関与が示唆された。また、プロテオーム解析において内皮や葉で同定されたPO34やPO70は、転写解析においてストレス誘導性が観察され、スベリン合成への関与、また傷害ストレスなどへの抵抗性反応に関与していると考えられた。
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