2006 Fiscal Year Annual Research Report
模倣からみた乳幼児の社会的認知発達及び発達的基盤:「自分に似た他者」を巡って
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05J06177
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
實藤 和佳子 九州大学, 大学院人間環境学研究院, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 乳幼児 / 模倣 / 社会的認知 / 発達 / 類似性 |
Research Abstract |
乳児が年長の幼児の方よりも同世代乳児の方を選好することは複数の先行研究で確認されている.これまで申請者らはこの現象に関する実証研究を行い,6・9ヶ月児が3ヶ月齢年上/年下の乳児より自分と同月齢乳児の外見的特徴を選好することを明らかにしてきた.そこで,「自己と似た」行動への認知及びその発達的変化に焦点を当て,ハイハイから歩行へと大きく運動形態が発達する乳幼児がそれぞれ自分の運動形態と似た運動形態に選好を示すのかにっいて,バイオロジガルモーショシを用いた検討を行った. ハイハイを行う乳児(平均8.46ヶ月児)と独歩を行う乳児(平均12.61ヶ月児)の各24名計48名が本研究に参加した.刺激として,同一の成人女性によるハイハイのバイオロジカルモーションと歩行のバイオロジカルモーションを作成し,1刺激あたり20秒ずつ提示された.パソコンやハードディスクを使用して,これらの刺激・データ収集に含まれる多大なプライバシー情報を厳密に管理し質の高い刺激を作成・保存した.ビデオカメラを用いて刺激を提示した際の乳児の注視時間を録画・分析した結果,刺激の主効果および対象児群の主効果は見られなかった.一方で刺激×対象児群の交互作用に有意差がみられ,ハイハイ児群は,ハイハイ刺激を歩行刺激より長く注視し,歩行児群は歩行刺激をハイハイ刺激よりも長く注視した.このことから、光点のみの情報でも,乳児は「自己と似た」行動を検出し選好することが示唆された.本結果は,他者(成人)によってなされる子どもの模倣への選好を基礎付ける認知能力であると考えられる. これら一連の研究によって得られた知見は,平成17年度までに得られた研究知見とともに多くの国内外の学会で発表を行った.なお本研究の実施に当たっては,乳幼児の保護者に対し研究の目的及び内容について十分な説明を行い,研究協力についての同意を得ている.
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Research Products
(5 results)