2005 Fiscal Year Annual Research Report
1930年代における教授方針の変容過程-大正期と戦時期との連続性の視点から-
Project/Area Number |
05J06179
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
永江 由紀子 九州大学, 大学院・人間環境学研究院, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 大正自由教育 / 大正新教育 / 初等教育実践 / 八大教育主張 / 教育実際家 / 訓練 / 訓育 / 山口県教育史 |
Research Abstract |
今年度は、以下の2点について作業を進めた。 1.大正自由教育実践者による自由教育思想受容の分析 (1)1930年代における教育の変容を検討するに先立ち、1920年代の大正自由教育論者が自らの教育思潮に対してどのように向き合っていたかという点を整理した。(2)当時の初等教育実践に関わっていた人々が、「教育実際家」として自らの実践を位置付けていく手法に着目しながら、大正末に記された書籍・雑誌記事の収集にあたった。大正自由教育の新思潮を象徴しているとされる、八大教育主張講演会に焦点を当て、教育実践者がここでの講演内容を受容する過程を明らかにした。(3)研究成果の一部を、九州教育学会第57回大会(2005年11月26日、佐賀大学)において口頭発表した。 2.地方公立小学校長による自由教育解釈の変容過程への着目 (1)大正末-昭和戦前期における初等教育実践を、一次史料に基づいて分析を行った。具体的には、山口県豊浦郡豊浦尋常高等小学校において、1926年から1933年にかけて校長を務めた人物の思想と実践について、「椿惣一先生資料」をもとに検討を加えた。(2)教授方針の変容過程を明らかにする本研究の趣旨に関わり、訓練・訓育という教育領域に着目した。大正自由教育論者によって積極的に受け入れられた訓練・訓育を、地方公立小学校の校長がどのように読み替えたか、その解釈の変化と実践を明らかにした。(3)あわせて、当時の山口県における教育界の動きについて、教育雑誌『山口県教育』を用いながら、とりわけ教育研究会の実施内容について整理した。(4)研究成果として、教育史学会第49回大会(2005年10月9日、東北大学)および九州史学研究会大会(2005年10月16日、九州大学)において口頭発表を行い、議論から有意義な示唆を得ることができた。
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