2005 Fiscal Year Annual Research Report
新しい核反応論による太陽内部でのホウ素の生成率の決定
Project/Area Number |
05J06187
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
江上 智晃 九州大学, 大学院・理学研究院, 特別研究院(DC1)
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Keywords | 原子核反応 / 不安定核反応 / クーロン分解反応 / 離散化チャネル結合法 |
Research Abstract |
不安定核は、原子核物理のメインテーマのひとつである。不安定核の研究によって得られる反応率などの情報をもとに、超新星爆発時の元素合成の過程や太陽系の元素の組成を知ることができる。従って、この研究は宇宙物理の分野につながる重要課題である。我々は不安定核に注目し、核反応の立場から研究を行ってきた。 太陽内部でのホウ素(^8B)の生成率を決定するためには、^8Bを入射核とした低エネルギーの分解反応の解析を行う必要がある。分解反応を非常によく記述する方法に離散化チャネル結合法があるが、^8Bは、p+^3He+^4Heの3体系を成しているため、pseudo state法を導入し計算しなければならない。昨年度までに、上記の方法により入射核が2体系の低エネルギーの分解反応を記述できることが示されている。 本年度は3体系の入射核として比較的構造が簡単な^6Heに注目し、入射エネルギーがクーロン障壁近傍におけるクーロン分解反応の解析を行った。この反応における入射エネルギーは非常に低いため、クーロン力による分解の効果が重要である。我々は新しく導入した方法により、クーロン力による分解の効果を正確に取り入れた計算を行った。その結果、はじめてクーロン分解反応が重要な低エネルギー領域の実験を再現した。このことは、先行研究においてよく採用されてきたモデル、即ち^6Heを簡便に2体系として取り扱うダイニュートロンモデルによる解析が、実験の解析において不適切であることを示す結果となった。これらの研究の成果を、アメリカでの国際会議(DREB2005)、国内での国際会議(RIBF2006)、物理学会・研究会等で発表した。
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Research Products
(1 results)