2005 Fiscal Year Annual Research Report
酸化物結晶の照射損傷過程に及ぼす電子励起および電場の効果
Project/Area Number |
05J06199
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
山本 知一 九州大学, 大学院・工学研究院, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 照射損傷 / 電子励起 / スピネル / イオンラック |
Research Abstract |
マグネシアアルミネートスピネルなどの酸化物セラミックスは、岩石型プルトニウム燃料やアクチノイド元素の核変換消滅処理における不活性母材としての使用が考えられている。燃料中で核分裂生成物は、そのエネルギーの大部分を電子との相互作用により失い、高密度電子励起を引き起こす。本年度は、高密度電子励起によりスピネル結晶中に形成される柱状欠陥(イオントラック)の構造と原子配列の不規則化過程を明らかにすることを目的として、原子力研究所のタンデム加速器により重イオン照射したスピネル結晶の組織観察および電子チャネリングX線分光法によるイオン配列の測定を行った。 透過型電子顕微鏡によるイオン入射方向からの組織観察では、数100MeVのイオン照射によりスピネル結晶中に形成される柱状欠陥は中心から数nmの領域に位相コントラストをもち、(100)面を1辺とした四角形の形状をしていることが明らかになった。高分解能観察ではその領域に異なる格子間隔をもつ格子像が観察され、岩塩構造に相変態した領域である可能性が高い。柱状欠陥の外側の領域は強い歪みコントラストを示し、格子歪みをもつことが明らかになった。また電子チャネリングX線分光法から原子配列変化の照射量依存性を明らかにし、電子顕微鏡観察で観察される欠陥の4〜5倍の領域が電子励起の影響を受け、原子配列が不規則化していることが明らかになった。イオンの飛跡に沿って電子チャネリングX線分光法による測定を行い、原子配列の不規則化の電子励起密度依存性を明らかにした。
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Research Products
(2 results)