2006 Fiscal Year Annual Research Report
鎮痛オピオイド受容体のアフィニティラベリングによる活性化分子起動メカニズムの解明
Project/Area Number |
05J06214
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
磯崎 要 九州大学, 大学院理学研究院, 特別研究員(DC1)
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Keywords | オピオイド受容体 / 変異受容体 / アフィニティラベリング / 受容体化学 / Gタンパク質 |
Research Abstract |
モルヒネの受容体であるオピオイド受容体には、δ-,μ-,κ-型の3種のサブタイプが存在し、いずれも鎮痛作用などの生理作用を発現する。本研究は、オピオイドペプチドに付加したNpys基と受容体のCys残基間でのチオールジスルフィド交換反応により、オピオイド受容体をアフィニティラベリングする技術を用いて受容体-リガンド複合体を作製し、これを結晶化、立体構造解析するものである。 本年度は、特にμ-オピオイド受容体に対しラベルされるCys残基を同定することを目的として、膜貫通領域に存在するCys→Ala変異受容体を8種類作製し、発現させた。アゴニスト性アフィニティリガンド4種に対する受容体結合試験を実施したところ、リガンド結合能はいずれの変異受容体においても野生型とほぼ同等であり、変異導入によるリガンド結合性への影響は見られないことが判明した。現在、最も強い結合親和性を示したEnk-Cys(Npys)に対してアフィニティラベリングを実施し、ラベルされるCys残基の同定を3種の異なるトレーサーを用いて試みている。 また、研究課題を遂行するにあたり更なる実験技術の向上と発想の転換を目的として、共同研究先のイタリア国立衛生研究所に短期留学した。イタリアの研究室が所有しているコンストラクトを用いて、日本では作製不可能なオピオイド受容体コンストラクトの構築に成功した。さらに、ラベルされた受容体の構造状態についての検証を効率的に実施するために、μ-オピオド受容体とGαoタンパク質を遺伝子操作により融合させたコンストラクトを作製した。これを用いて、アフィニティラベルされた受容体に対する[^<35>S]GTPγS結合試験を実施した。その結果、アゴニスト性のアフィニティリガンドでラベルされた受容体は、リガンドの濃度依存的な活性化状態にあることが判初めて明した。δ-のみならずμ-オピオイド受容体でも、アフィニティラベルされた受容体に対する生物活性を評価し、その構造状態についての知見を得ることに成功した。
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Research Products
(6 results)