2005 Fiscal Year Annual Research Report
鎮痛オピオイド受容体のアフィニティラベリングによる活性化分子起動メカニズムの解明
Project/Area Number |
05J06214
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
磯崎 要 九州大学, 理学研究院, 特別研究員(DC1)
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Keywords | オピオイド受容体 / 変異受容体 / アフィニティラベリング / 受容体化学 / Gタンパク質 |
Research Abstract |
モルヒネの受容体であるオピオイド受容体は、δ-,μ-,κ-型の3種のサブタイプが存在し、いずれも鎮痛作用などの生理作用を発現するため、活性化機構や阻害機構の解明が急がれている。本研究は、オピオイドペプチドに付加したNpys基と受容体のCys残基間でのチオールジスルフィド交換反応により、オピオイド受容体をアフィニティラベリングする技術を用いて受容体-リガンド複合体を作製し、これを結晶化、立体構造解析するものである。そして最終的には、オピオイド受容体の立体構造および受容体活性化の分子機構を解明することを目的としている。 本年度はまず、ラベルされるCys残基を同定することを目的として、δ-オピオド受容体に存在するすべてのCys→Ala変異受容体を作製および発現させた。そして、2種のアゴニスト性アフィニティリガンド,Enk-Cys(Npys)とLeu-(S)-EnkがラベルするCys残基が、それぞれ第7および第5膜貫通領域に存在する303位,232位のCys残基であることを同定した。これらのCys残基は同時に、受容体タンパク質内でジスルフィド結合を形成せず、側鎖遊離チオール基が存在していることを示す。また、細胞外ループに存在するCys残基を変異させると受容体タンパク質は発現しないことが判明した。 さらに、ラベルされた受容体の構造状態についての検証を効率的に実施するために、δ-オピオド受容体とGαoタンパク質を遺伝子操作により融合させたコンストラクトを作製した。これを用いて、アフィニティラベルされた受容体に対する[^<35>S]GTPγS結合試験を実施した。その結果、アゴニスト性のアフィニティリガンドでラベルされた受容体は、リガンドの濃度依存的な活性化状態にあることが判明した。さらに、アゴニスト/アンタゴニストの刺激に対して顕著に異なる応答を示した。このような手法により、アフィニティラベルされた受容体に対する生物活性を評価し、その構造状態についての知見を得た例は他に類をみない。
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Research Products
(3 results)