2007 Fiscal Year Annual Research Report
鎮痛オピオイド受容体のアフィニティラベリングによる活性化分子起動メカニズムの解明
Project/Area Number |
05J06214
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
磯崎 要 Kyushu University, 理学研究院, 特別研究員(DC1)
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Keywords | オピオイド受容体 / 変異受容体 / アフィニティラベリング / 受容体化学 / Gタンパク質 |
Research Abstract |
本研究は、鎮痛作用に関わるオピオイド受容体のペプチドリガンドに付加したNpys基と受容体のCys残基間でのチオールジスルフィド交換反応により、オピオイド受容体をアフィニティラベリングすることで受容体-リガンド複合体を作製し、構造活性相関を解析するものである。本年度は、δオピオイド受容体に13個存在する全てのCys残基をAla残基に変異させ、かつGタンパク質もしくは蛍光タンパク質であるGFPを融合させたコンストラクトを作製した。それらの発現解析およびリガンド結合性と受容体活性化能を評価した。さらに、ラベルされた受容体タンパク質の生物活性も評価した。 その結果、Cys273およびCys303のAla置換において著しいラベル能の低下がみられた。一方、第2細胞内ループに存在するCys151をAla置換すると、全くラベリングが起らなくなった。これらの結果をさらに検証するために、リガンドのN末端アミノ基の結合部位の同定を試みたところ、Asp128であることが判明した。そこで3次元構造をもとにアフィニティリガンドと受容体との相互作用について推察したところ、Cys151はリガンド結合部位から遠く離れていることから、Cys273およびCys303がラベルされるCysであることが同定された。また、Cys151を変異させると細胞膜上への発現が阻害され、リガンド結合性には影響がないが、受容体活性化能が著しく低下することが示された。アフィニティラベリングの結果と併せて考察すると、通常GPCRではC末端でパルミトイル化が起るが、δオピオイド受容体ではCys151が第2のパルミトイル化サイトとして構造および機能を制御している可能性が示唆された。本研究では、δオピオイド受容体のCys残基に関する系統的な解析を実施し、構造と活性との相関関係を分子レベルで検討し、受容体起動の構造要因の一端を明らかにすることができた。
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Research Products
(12 results)