2005 Fiscal Year Annual Research Report
2次元界面におけるメゾスコピックドメインの分散安定性と分子レベル構造解析
Project/Area Number |
05J06215
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
樫本 薫 九州大学, 大学院・理学研究院, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 界面 / メゾスコピック / ドメイン / 吸着膜 / X線反射率 / X線散乱 / 界面張力 / ハマーカー定数 |
Research Abstract |
溶媒がメゾスコピックドメインに及ぼす効果に焦点をあてるため,油相にペルフルオロヘキサン(PFHE)を採用し,ハイドロカーボン(HC)アルコール(テトラデカノール:C14OH)PFHE溶液/水界面吸着膜(Gibbs膜)を研究対象とした.軸対称懸滴形状解析法(液滴の画像をリアルタイムで取り込みその形状から界面張力を決定する)による静的界面張力(γ)測定を溶液濃度(m)および温度(T)を変数として行い,マクロなGibbs膜状態シークエンスの帰属をX線反射率測定にさきがけて行った. γ-T曲線およびγ-m曲線に2つの明確な折れ曲がりが存在することから,2次元界面内で膜密度の変化に伴う2つの相転移(気体膜⇔膨張膜間,膨張膜⇔凝縮膜間)がおきることを見出した。G14OHがPFHE/水界面に飽和吸着した際の分子占有面積は界面張力の濃度依存性から約0.19nm^2と見積もられ,HC鎖の断面積にほぼ等しいことから吸着膜中でかなり密に凝縮していることがわかる.その一方でC14OHのヘキサン(HE)/水界面吸着膜では最も密に詰まった場合においても分子占有面積が0.62nm^2程度までしか圧縮されない.これらの結果を考慮して,周囲に存在するHC溶媒やフルオロカーボン(FC)溶媒といった環境の違いがC14OHの凝集度合いに変化を生じさせていることを明らかにした.また,FCアルコールがHE/水界面で凝縮膜を形成するという以前の報告から,「PFHE/水界面におけるHCアルコール」,「HE/水界面におけるFCアルコール」といった性質の異なるもの同士の組み合わせにおいて強い凝集性を発揮することがわかる.このことはHC-HC間およびFC-FC間における同種間相互作用よりもHC-FC間における異種間相互作用の方が小さいという考えで説明でき,ハマーカー定数を用いた議論と矛盾しない.
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