2005 Fiscal Year Annual Research Report
水溶液表面での可溶性凝縮膜形成を基盤とする分子界面熱力学・界面構造化学的研究
Project/Area Number |
05J06219
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
柴田 絹枝 九州大学, 大学院・理学研究院, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 可溶性凝縮膜 / 非イオン性界面活性剤 / 分子界面熱力学 / 界面構造化学 / 吸着 / 界面張力 / 外部反射IR / 凝縮膜ドメイン |
Research Abstract |
1、界面張力測定 空気/水界面における非イオン性界面活性剤、エチレングリコールモノドデシルエーテル(C_<12>E_1)の可溶性凝縮膜形成を示すため、圧力(大気圧)、温度(15℃)一定の下、水溶液濃度を関数として滴容法を用いた界面張力測定を行った。その結果C_<12>E_1は、界面形成から吸着平衡に達するまでに数時間が必要であることが分かった。ここで、滴容法を用いた長時間測定で起こる水溶液の蒸発、それに伴う水溶液濃度の変化等の問題を回避する為、界面張力測定手法を滴容法から懸泡法に変更した。 懸泡法では、界面張力の時間変化を測定することができた。ここで得られた最も重要な結果は、12μmol kg^<-1>以上の高濃度領域において界面張力37mN m^<-1>付近に、吸着膜の相転移を示すプラトー領域が観測されたことである。現在、熱力学的解析による界面密度の見積もりに十分な実験点を得るため、懸泡法を用いた実験を進行中である。更にこの相転移がどのような膜状態に関連しているか知るために、外部反射IRの手法を用いて情報を得ることにした。 2、外部反射IR測定 大気圧下、温度15℃一定の下、相転移前後の濃度範囲を中心に外部反射IR測定を行った。その結果、10-12μmol kg^<-1>の濃度範囲における界面密度は約4.8μmol m^<-2>、15μmol kg^<-1>以上の高濃度範囲においては約7.2μmol m^<-2>であった。これらはそれぞれ膨張膜、凝縮膜に相当する値である。したがって、界面張力測定で見出された吸着膜の相転移は膨張膜から凝縮膜への相転移であることが示唆された。更に界面密度をC_<12>E_1濃度に対してプロットするとシグモイド型であった。相転移の次数に関しては現在検討中であるが、この結果は、相転移濃度付近の吸着膜が、凝縮膜ドメインと均一な膨張膜の共存する不均一構造である可能性を示唆している。
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