2005 Fiscal Year Annual Research Report
超高感度新規蛍光団の開発と定量分析・イメージング基材への展開
Project/Area Number |
05J06225
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
平野 潤三 九州大学, 大学院・薬学研究院, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 4-キノロン / 蛍光 / Hammett則 |
Research Abstract |
4-キノロン骨格における構造と光特性の関係を検討するため、6位に種々の置換基を有する4-キノロン化合物のライブラリーを作成した。合成は種々の置換基をパラ位に有するアニリン誘導体を出発原料として、縮合、環化、けん化、脱炭酸の4段階で行い、構造はNMR、FAB-MS、元素分析で確認した。緩衝液(pH7.0)における吸収及び蛍光スペクトルを測定した結果、吸収極大波長及びモル吸光係数に大きな差は認められず、蛍光極大波長及び蛍光量子収率はそれぞれ347-479nm、0.007-0.49と著しく変化した。無置換体である4-キノロンは347nmに蛍光極大を持ち、量子収率は0.007である一方、ジメチルアミノ基及びアセチル基を導入した化合物は作成したライブラリー中最も長波長である479、445nmを極大とする蛍光を発し、その量子収率は0.29、0.05であった。またメトキシ基、エトキシ基を有する化合物は373、375nmに蛍光極大を持ち、量子収率は最も大きい0.38、0.49を示した。ヒドロキシル基を導入した化合物は特に興味深い光特性を示し、378、463nmに2つの極大を持つ蛍光を発した。この特異な発光現象は励起状態での分子内プロトン移動により2種の励起種が生成されたことが原因であると考えられる。次に置換基の電子供与性及び吸引性の強さを示すHammettのσ_p値と蛍光極大波長及び蛍光量子収率との関係を検討した。その結果、σ_p値の絶対値が大きくなるに従い蛍光極大波長が長波長シフトし、また特に電子供与側で蛍光量子収率が増大する傾向が認められた。これはHammett則を用いることで4-キノロン骨格における蛍光性の制御が可能であることを示しており、この結果は蛍光試薬の精密な設計に重要な知見であると考えられる。
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