2006 Fiscal Year Annual Research Report
超高感度新規蛍光団の開発と定量分析・イメージング基材への展開
Project/Area Number |
05J06225
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
平野 潤三 九州大学, 大学院薬学研究院, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 4-キノロン / 量子化学計算 / 環境応答性蛍光プローブ / 陰イオン蛍光センサー |
Research Abstract |
1.4-キノロン骨格を電子ドナーとするデュアル蛍光化学物の開発と環境応答性蛍光レシオプローブとしての利用 著者は4-キノロン化合物を電子ドナーとして、置換ベンゼンをアクセプターとすることで新しいタイプのデュアル蛍光化合物群の開発に成功した。X線結晶解析と量子化学計算を用いた構造解析の結果から、本化合物は4-キノロン環とベンゼン環が60-75°ねじれた構造であることが示され、量子化学計算解析から、ねじれ構造がデュアル蛍光発現に重要であることが示唆された。開発化合物は励起後、2環のねじれ角が変化することでエネルギー準位の低い電荷移動状態を形成し、2種類の励起種がそれぞれ発光するためデュアル蛍光が発現することが推察された。このデュアル蛍光発光は周囲の環境に応じて鋭敏に変化し、本化合物を利用することで溶媒の疎水性、酸性度、温度をレシオメトリックにモニターすることができた。 2.水含有溶媒中で機能する陰イオン蛍光レシオセンサーの開発 水系溶媒中でレシオ測定を可能にする陰イオン蛍光センサーセンサーはほとんど報告されていない。著者は以前4-キノロンがアセトニトリル中で陰イオンセンサーとして機能することを報告しており、今回陰イオン結合部位であるアミノ基を2ヶ所組み込むことで陰イオン親和性を向上させた新規陰イオンセンサーPTDを開発した。PTDは、アセトニトリル水溶液中で陰イオンに応答して500nm付近に蛍光発光を示し、またセンサー自身の発光も約350nmに検出可能であるため、350nmと500nmの2波長の蛍光強度変化をモニターすることで、陰イオンのレシオセンシングが可能であった。この結果から、開発したPTDは水系環境である細胞や組織において、陰イオン性生理活性物質のモニタリング等に応用可能であることが示唆された。
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Research Products
(1 results)