2005 Fiscal Year Annual Research Report
血管内皮障害を認識する機能化造影剤及び薬物送達システムの開発
Project/Area Number |
05J06232
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
生田 健次郎 九州大学, 工学研究院, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 血管内皮障害 / MRI / Drug Delivery Systems / Evans Blue |
Research Abstract |
MRI造影剤の研究においてはフェライト粒子表面にEvans Blueを修飾した陰性造影剤を合成した。その合成した造影剤とブタ血管片を用いて内皮剥離部位と正常部位とのMRIシグナルの変化を観測し、造影剤の内皮障害部位認識能の評価を行った。その結果、内皮剥離部位へのフェライト粒子の吸着が目視で確認できた。またMR画像上では内皮剥離部位周辺のシグナルの減少が観測された。陰性造影剤は造影剤が存在するその部位のシグナルを減少させるので、MR画像上の内皮剥離部のシグナルの減少は合成した造影剤の集積によるものと言える。これによりEvans Blue修飾フェライト粒子が内皮傷害部位特異的に集積することが示唆された。 高分子薬物キャリアの研究においてはこれまでに合成した高分子キャリアの中で最も安定性の高いポリマーを用いて薬物内包などの物性評価を行った。薬物内包条件としてポリマー、薬物(ドキソルビシン)の濃度を変化させ、高分子ミセル内に内包できる最大量を測定した。また同時に、各薬物濃度の条件で作成したミセルの粒径とゼータ電位の測定も行った。ポリマーの濃度を0.4mg/mlの場合、調製時のドキソルビシンの量(feed DOX)依存的に内包量(loaded DOX)が増加した。Feed DOXが0.6mg/mlのときの内包量が最大となり、内包量は15.9wt%(loaded DOX/carriers)であった。ミセルの平均粒径はDOXを内包することで小さくなった。これは内包されたドキソルビシンの疎水性により疎水性コアの相互作用が強まったためである。また、ミセルからの薬物漏出はPBS(-)中10時間で26%の薬物しか漏出しなかった。これらの結果から合成したキャリアは十分に薬物保持できることが示された。
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