2005 Fiscal Year Annual Research Report
ハイブリッド触媒の創製とナノ特異反応場を利用したクリーン物質変換反応
Project/Area Number |
05J06237
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
馬場 達志 九州大学, 工学研究院, 特別研究員(DC1)
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Keywords | ポルフィセン / 水溶性 / スルホン化 / コバルト錯体 / ゾル-ゲル / 修飾電極 |
Research Abstract |
テトラ-n-プロピルポルフィセンを発煙硫酸と反応させ、ピロールβ位に1から3個のスルホン酸基を導入した新規水溶性ポルフィセン配位子を合成した。得られた各配位子は、置換数によって極性が異なり分液操作のみで精製を行うことに成功した。 得られた各配位子について水中での物性評価を行った。モノスルホン化配位子について、水中で電子スペクトル測定を行った結果、会合体形成に伴う吸収帯が観測された。モノスルホン体のX線結晶構造解析より、会合形態はJ会合であることが明らかとなった。これまでにポルフィセンJ会合体の報告例はなく色素としての利用も期待される。続いて、各スルホン化配位子について、酸滴定を行い内部窒素のプロトン化挙動を評価したところ、ポルフィセンはポルフィリンに比べ酸解離定数(pK_3)が小さくプロトン化しにくいことが明らかとなった。また、各スルホン化配位子を比較すると置換数の増大に伴いpK_3が増大することが見いだされた。これまでにポルフィセンの酸塩基挙動に関する報告例はなく、基礎物性としてきわめて重要である。 続いて、各配位子を酢酸コバルトと共に溶媒中で還流し、スルホン化ポルフィセンコバルト錯体を得た。錯形成条件は、各置換体によって異なり、置換数が増大するほど、より低沸点の溶媒中で錯形成することが明らかとなった。 以上のように本研究では、新規スルホン化ポルフィセン配位子およびそのコバルト錯体を合成し、配位子について物性評価を行った。得られた各ポルフィセン誘導体は、水やアルコール類といった高極性溶媒によく溶解し、水中での触媒反応への応用が期待される。また、スルホン酸基置換数によって、配位子の極性や酸解離定数、錯形成条件が変化することが明らかとなった。これは、ポルフィセン機能制御の手法として有用である。
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