2006 Fiscal Year Annual Research Report
ハイブリッド触媒の創製とナノ特異反応場を利用したクリーン物質変換反応
Project/Area Number |
05J06237
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
馬場 達志 九州大学, 大学院工学研究院, 特別研究員(DC1)
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Keywords | ポルフィセン / 一重項酸素 / 光増感反応 / 固定化 / ゾル-ゲル法 |
Research Abstract |
ポルフィリンの構造異性体であるポルフィセンは、可視光領域に強い吸収帯を有しており、新たな光増感剤として期待されている。しかし、これまで開発されたポルフィセン光増感剤は、いずれも一重項酸素発生量子収率が0.3〜0.4と低く、より高効率な光増感剤の開発が望まれてきた。 そこで本研究では、ポルフィセンに臭素を1〜4個導入した新規光増感剤を開発した。各臭素化ポルフィセンについて一重項酸素発生量子収率を評価したところ、いずれも無置換体(量子収率0.36)に比べ量子収率の向上が見られた。とくにジブロモポルフィセンに関しては、量子収率0.93と極めて高い値を示した。続いて、各光増感剤を用いて1,5-ジヒドロキシナフタレンの光酸化反応を行ない、活性を比較した。その結果、ジブロモポルフィセンの活性が最も高く、無置換ポルフィセンに比べて3倍、TPPに比べて11倍の活性を示した。また、各光増感剤に4時間光照射し耐久性を比較したところ、TPPでは11%分解したのに対し、ジブロモポルフィセンでは1%程度であり、耐久性においても優れていることが明かとなった。以上、本研究で開発したジブロモポルフィセンは、高い光増感能と高い耐久性を併せ持った優れた光増感剤と言え、今後癌の光線力学療法等への応用が期待される。 続いて、優れた光増感剤である臭素化ポルフィセンを、ゾル-ゲル法によってガラス基板に固定化し、新規固定化触媒を創製した。固定化触媒の破断面について、SEM測定を行いゾル-ゲル膜の形成を観察した。固定化触媒の触媒能について検討するため、光酸化反応を行った。1,5-ジヒドロキシナフタレンを基質として反応したところ、酸化生成物の生成が確認され、溶液中反応と同様に進行することが明らかとなった。本研究で作成した固定化触媒は再利用可能であるうえ、容易に生成物との分離が行うことができ、より実用的な触媒だと言える。
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Research Products
(1 results)