2005 Fiscal Year Annual Research Report
ポルフィリノイド低原子価金属錯体の新規創製とユニークな反応性の評価
Project/Area Number |
05J06238
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
伊藤 和幸 大阪大学, 大学院・工学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 人工ヘム類縁体 / 電子求引基 / ポルフィセン |
Research Abstract |
ヘムは鉄を中心金属に有するポルフィリン錯体であり、ヘムを活性中心とするヘムタンパク質には酸素貯蔵を司るミオグロビン、酸化反応を行うシトクロムP450などが存在する。これらのヘムタンパク質は天然のヘムを除去し、人工的に合成したヘムを再構成することにより、機能の向上や変換が可能であると考えられる。 これまでの研究により強力な電子求引基であるCF_3基をポルフィリンの構造異性体であるポルフィセンのピロールβ位に4つ導入した錯体は通常のポルフィリン・ポルフィセンには見られないユニークな性質を有していることが明らかとなった。例えば、ピリジン中でCF_3基を側鎖に有するポルフィセン鉄三価錯体が容易に自動還元され鉄二価状態が安定に存在することが観測された。この様な特殊な性質を持つ錯体にプロピオン酸側鎖を導入し、ヘムタンパク質へ再構成可能となる電子疎な人工ヘム類縁体の合成を行った。 具体的な手法としては、まずCF_3基を有するビピロールとCF_3基及びプロピオン酸メチル基を側鎖に有するビピロールの合成を行った。これらの2つのビピロールを前駆体としてマクマリー環化反応により2,7-ジエチル-3,6,12,17-テトラキス-(トリフルオロメチル)-13,16-ビス(2-メトキシカルボニルエチル)ポルフィセンを得た。得られたポルフィセンに鉄を挿入し電子疎な人工ヘム類縁体を得た。合成した人工ヘム類縁体はUV-visスペクトル、^<19>F-NMR、MALDI-TOF-MSにて同定を行った。
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Research Products
(1 results)