2006 Fiscal Year Annual Research Report
非天然ヘムを駆使したシトクロムP450の電子伝達経路解明と高機能変換
Project/Area Number |
05J06239
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
原田 勝好 大阪大学, 大学院工学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | ヘム蛋白質 / シトクロムP450 / プロピオン酸側鎖 / 再構成 |
Research Abstract |
本研究は、プロピオン酸側鎖の片方を選択的に欠損したヘムを有する再構成P450_<cam>を調製し、その構造や酵素活性を詳細に検討することによりシトクロムP450_<cam>の機能におけるヘムプロピオン酸側鎖の役割解明を目標としている。 過剰量の基質d-camphor存在下において再構成P450_<cam>の共鳴ラマンスペクトルを測定したところ、6位プロピオン酸側鎖欠損P450_<cam>は野生型P450_<cam>と同様に高スピンに特徴的なスペクトルを示したが、7位プロピオン酸側鎖欠損P450_<cam>は、主に低スピンに特徴的なスペクトルを示した。また、PdxからP450_<cam>への第一電子伝達速度を測定した結果、7位プロピオン酸側鎖欠損型P450_<cam>では野生型P450_<cam>に比較して還元速度が約1/100に低下した。これは7位プロピオン酸側鎖の欠損により蛋白質表面から活性中心に水分子が侵入しやすくなることでヘム鉄の配位水が排除されにくくなりヘム鉄が低スピン状態にとどまるためであると考えられる。つまり、7位のプロピオン酸側鎖はArg299と相互作用し、蛋白質表面から活性中心へ向かう水分子チャネルのゲートとして機能していることが実験的に明らかとなった。一方、6位プロピオン酸側鎖欠損型P450_<cam>では第一電子伝達速度の低下は観測されなかったが、Pdxの親和性が約1/3に低下した。これにより6位プロピオン酸側鎖がArg112と相互作用し、Pdxの適した結合に必要であることが明らかとなった。
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Research Products
(3 results)