2006 Fiscal Year Annual Research Report
リソソーム性薬物トランスポーター欠損マウスによる薬物耐性獲得の分子制御機構
Project/Area Number |
05J06267
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
廣田 有子 九州大学, 大学院薬学研究院, 特別研究員(DC1)
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Keywords | リソソーム / メンブレントラフィック / エンドソーム / トランスポーター / 多剤耐性 |
Research Abstract |
本年度は前年度構築したGFP-LAPTM4αプラスミドを用い、リソソーム膜蛋白質LAPTM4αの特性及び細胞内での役割についての検討を行った。GFP-LAPTM4αのトランスフェクションによる発現時間を長くしたところ、それまで細胞内でリソソーム膜上に点状に観察されたGFP-LAPTM4aの局在が直径1-2umの構造物の膜上に観察されるようになった。この構造物は小胞が集積したような形状およびそこに集積した蛋白質の特徴から後期エンドソーム・多胞体様小胞(Multi Vesicular Body(MVB))様のコンパートメントである可能性が示唆された。そこで、この多胞体様構造物がMVBのように膜が陥入して派生した構造物か否か以下の実験を行った。GFP-LAPTM4αをCOS-1細胞に発現させ、リソソーム膜を可溶化しない条件のジギトニン処理を行い、抗GFP抗体による間接蛍光抗体染色法によりGFPが細胞質側に観察されるか否か共焦点レーザー顕微鏡を用いて検討を行った。その結果、ジギトニン処理を行ったGFP-LAPTM4αを発現したCOS-1細胞では抗GFP抗体シグナルは観察されなかった。この結果から、LAPTM4α蛋白質発現時の多胞体様構造物は膜陥入により派生した構造物ではないことが明らかになった。さらにGFP-LAPTM4αを発現させたCOS-1細胞内へ蛍光標識したDextran及びEGFの取り込みを行ったところ、それらの取り込みにおいて非発現細胞との差は確認されなかった。LAPTM4αのマウスホモログMTPは細胞膜に局在するヌクレオシドトランスポーターとして知られており、エンドソーム・リソソーム内への物質の流入を促進させている可能性が示唆されていたが、今回の研究はエンドソーム・リソソームへのエンドサイトーシス機構には関与しない蛋白質である可能性を示唆する結果となった。
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