2007 Fiscal Year Annual Research Report
偏性嫌気性細菌におけるテトラクロロエテン脱ハロゲン化呼吸に関する研究
Project/Area Number |
05J06275
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
二神 泰基 Kyushu University, 大学院・農学研究院, 特別研究員(DC1)
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Keywords | Desulfitobacterium / 脱ハロゲン呼吸 / クロロエテン / クロロホルム |
Research Abstract |
Desulfitobacterium hafniense Y51株は、還元的デハロゲナーゼ(PceA)により環境汚染物質であるテトラクロロエテン(PCE)とトリクロロエテン(TCE)をcis-ジクロロエテンへと脱塩素化する。この反応はPCEとTCEを最終電子受容体とする脱ハロゲン呼吸でエネルギー生産系と共役する。 平成17〜19年度に、Y51株の継代培養後に脱塩素化能を失った2種類の株が出現することを見出し、SD株(Small Deletion)とLD株(Large Deletion)に分類した。Y51株、SD株、およびLD株のpceA遺伝子の周辺構造を解析した結果、Y51株のpce遺伝子群は2つの相同な挿入配列(ISDesp1とISDesp2)に挟まれており、複合トランスポゾンを形成していた。一方、SD株はISDesp1を欠失しており、LD株はpce遺伝子群をすべて欠失していた。次に、クロロホルム(CF)存在下でLD株が高頻度に出現する現象を見出した。本年度は、この原因が、CFがY51株のフマル酸呼吸を阻害し生育を阻害するのに対して、LD株の生育を阻害しないことにより、Y51株から自然誘発的に発生するLD株が優占種となるためであることを明らかにした。また、CFによるY51株のフマル酸呼吸の阻害は、PceAの基質であるTCE、あるいはPceA活性を阻害する2塩素化メタンの存在下では無効化された。従って、CFによる阻害効果は、Y51株でのみ発現するPceAへのCFの結合により生じると考察した。 以上の研究成果は、脱ハロゲン遺伝子群の機能進化を考察する上で興味深く、また、CFとクロロエテン類の複合汚染時のバイオレメディエーションを効率よく遂行するための知見として重要である。
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Research Products
(9 results)