2005 Fiscal Year Annual Research Report
乳幼児におけるアレルギー発症の早期予知を目指した腸内細菌分子マーカーの探索
Project/Area Number |
05J06278
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
田中 重光 九州大学, 大学院・農学研究院, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 腸内細菌叢 / アレルギー / 疫学調査 |
Research Abstract |
新生児86名(第1期サンプリング36名、第2期サンプリング50名)について臍帯血IgE値の測定、生後2ヶ月間の糞便を採取した。糞便のサンプリングは、生後1日目から5日目までの毎日と、1ヶ月後、2ヶ月後に行った。各新生児の母親に対し、生後2年後(第2期は生後1年後)にアレルギー罹患に関するアンケート調査を行ったところ、71名よりアンケートに対する回答が得られた。その結果、喘息2名、アトピー性皮膚炎3名、食物アレルギー5名の計10名の新生児が何らかのアレルギー症状を示すことが判明した。これらアレルギー症状を示す10名中6名(喘息2名、アトピー性皮膚炎2名、食物アレルギー2名)について糞便中の総細菌数をDAPI染色/顕微鏡観察により測定したところ、これら6名とその他の被験者に有意な差は見られなかった。さらに、それぞれ16S rRNA遺伝子のV2-V3、V1-V3領域をもちいたDGGE法とT-RFLP法により糞便中の細菌叢解析を行った。その結果、アレルギー症状を示す6名中5名で生後2ヶ月以内にビフィズス菌の存在が確認された。また、Klebsiella属などの大腸菌群が健常者に比べて少ない傾向が見られた。生後3日間に抗生物質の連続投与を受けた被験者5名においては、生後1週間に特定種(特にEnterococcus faecium)の異常増殖が起こり、1〜2ヶ月後には大腸菌群が優勢となる細菌叢の変遷が見られた。このことから生後初期の抗生物質投与は初期の細菌叢形成に大きな影響を与えることが示唆された。特に、この抗生物質投与を受けた被験者5名中2名は、食物アレルギーの症状を示しており、腸内細菌叢とアレルギーの関係を解明する上で重要なデータを得ることができた。
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Research Products
(2 results)