2007 Fiscal Year Annual Research Report
乳幼児におけるアレルギー発症の早期予知を目指した腸内細菌分子マーカーの探索
Project/Area Number |
05J06278
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
田中 重光 Kyushu University, 大学院・農学研究院, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 腸内細菌叢 / アレルギー / 疫学調査 |
Research Abstract |
乳幼児86名を対象に生後直後から5日目までの毎日、生後1カ月後、2ケ月後に糞便のサンプリングをおこなった。生後2年間の追跡調査をもとに、健常者19名、アレルギー罹患者11名、生後直後に抗生物質投与を受けた乳幼児5名に関して腸内細菌叢を解析した。腸内細菌叢は、T-RFLP,real-time PCR, 16S rDNA clone library法を用いて調査した。その結果、アレルギー罹患児には、健常児に比べて生後1ケ月間のBacteroidaceaeが多くなる傾向が見られた。このことから、生後1ケ月までのBacteroidaceaeの早期腸管定着がアレルギー発症の危険因子となることが示唆された。 さらに、アレルギー罹患児と健常児の保有するBacteroidaceaeに関して16S rDNA clone libraryによる比較を行った結果、各乳幼児群間で共通する細菌種も多く検出されたが、Parabacteroides distasonis、 Bacteroides uniformisに高い相同性を示す配列は、それぞれアレルギー罹患児、健常児に多く得られる傾向にあった。また、一般に腸内細菌叢形成の撹乱因子といわれる抗生物質投与が乳幼児腸内細菌叢形成に及ぼす影響を調査した。その結果、生後4日間連日の抗生物質投与のある乳幼児では、Bifidobacteriumの腸管定着が遅延し、抗生物質投与期間中にEnterococcus faeciumの異常な増殖が生じ、その後1〜2ケ月間Enterobacteriaceae過多の細菌叢が形成される傾向が見られた。このことから、生後直後の抗生物質の投与は、投与期間に限らず、その後の腸内細菌叢形成に重大な偏倚を生じさせることが示された。以上の結果より、アレルギー発症の予知マーカーとなり得る腸内細菌叢形成過程における偏倚を見出すことが出来た。
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Research Products
(4 results)