2007 Fiscal Year Annual Research Report
アラビドプシスCO_2非感受性変異体を用いた気孔におけるCO_2センサーの解明
Project/Area Number |
05J06287
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
袮宜 淳太郎 Kyushu University, 理学研究院, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 二酸化炭素 / シロイヌナズナ / 気孔 / 変異体 / サーモグラフィー / イオンチャネル / 陰イオン |
Research Abstract |
気孔には、多くのポンプやイオンチャネルが存在し、特に気孔閉鎖には、陰イオンチャネルが中心的な役割を果たしていると推定されているが、その分子実体は不明である。本年度は、モデル植物であるシロイヌナズナの分子遺伝学的な解析から、その陰イオンチャネルの有力な候補を同定した。植物の葉面温度は、蒸散率によって変化するため、気孔開度の尺度となる。slac1(slow anion channel-associated 1)変異体は、CO_2依存的な葉面温度変化を指標に単離され、高CO_2による気孔閉鎖が阻害された変異体である。その原因遺伝子は、真菌や細菌のジカルボン酸/リンゴ酸輸送体の遠縁のホモログである、植物では機能未知のタンパク質をコードしていた。レポーター遺伝子を用いた発現解析より、SLAC1は気孔を構成する孔辺細胞の細胞膜に特異的に発現していた。気孔閉鎖時には、孔辺細胞から細胞外ヘリンゴ酸^<2->やC1^-などの陰イオンが排出されると考えられている。変異体の孔辺細胞プロトプラスト(GCP)を用いてイオン含量を測定した結果、それらの陰イオンが、野生株と比較して高蓄積していた。これらの結果より、SLAC1は気孔閉鎖における細胞膜を介した陰イオン輸送に重要な役割を果たしていることが明らかになった。孔辺細胞において、陰イオンの排出に中心的な役割を担うのはS(slow)タイプの陰イオンチャネルであることが示唆されていることから、SLAC1はそのイオンチャネルの本体である可能性が高い。また、シロイヌナズナには、SLAC1と相同性の高い遺伝子が数個存在するが、それぞれの遺伝子が差次的な組織特異性を示し、とりわけSLAC1のみが気孔特異的に発現することが明らかになった。ホモログ遺伝子をslac1変異体の気孔において異所的に発現させると、slac1変異体に見られた恒常的な気孔開口とイオンの高蓄積が共に機能相補されたことから、SLAC1ファミリーの機能は類似しており、気孔以外の他の組織にも共通した陰イオン輸送システムが存在する可能性が示唆された。
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Research Products
(4 results)