2005 Fiscal Year Annual Research Report
都市域・都市郊外地域におけるヒドロキシルラジカルの大気寿命
Project/Area Number |
05J06324
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Research Institution | Tokyo Metropolitan University |
Principal Investigator |
西田 哲 首都大学東京, 都市環境学部, 特別研究員(PD)
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Keywords | 大気化学 / ヒドロキシルラジカル / 光化学オキシダント / 大気の酸性化 / 物理化学 / 大気寿命 / 反応性 |
Research Abstract |
ヒドロキシルラジカル(OH)は反応性が非常に高いため、大気中の化学物質の寿命を決定する主な要因となっている。対流圏オゾンなどの光化学オキシダントの生成や、硝酸などによる大気の酸性化にも影響を与えており、その反応機構の解明を行うことは非常に重要である。OHの反応機構を考える上では、OHの大気中の濃度測定も重要であるが、同時に生成過程、消失過程についても検討を行う必要がある。本研究はOHの大気中の消失過程に注目し、OHの消失過程を解明することを目的としている。観測にはレーザーポンププローブ法を用いたOHの大気寿命測定装置を用いた。平成17年度は6月から7月にかけてドイツ、ユーリッヒ市のユーリッヒ研究センターで行われたHOxCOMPキャンペーンに参加し大気寿命の測定を行った。HOxCOMPキャンペーンは、ヨーロッパのOHまたはHO_2の観測を行う研究者が集い同時に測定を行うことで各装置の信頼性を確かめると共に、大気中のOH、HO_2の挙動解明を行うために催された。模擬大気実験にはユーリッヒ研究センターの容積370m^3の模擬大気光化学実験チャンバーを使用した。外気の測定結果から、ユーリッヒの大気では八王子に比べて基本的にOHの大気寿命が長く、その変動が小さいことが分かった。模擬大気についても大気寿命測定を行った。大気寿命のより詳しい検討のためには他の大気微量成分の濃度を知る必要がある。今回の測定ではその他の研究グループにより同時にOH、HO_2の濃度やその他の微量化学種についても測定が行われた。しかし、それらのデータについてはまだ出揃っていないため、入手出来次第より詳細な解明を行っていく予定である。
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