2005 Fiscal Year Annual Research Report
更新世終末から完新世前半期の環境変動と人類活動の変化に関する比較考古学的研究
Project/Area Number |
05J06336
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Research Institution | Tokyo Metropolitan University |
Principal Investigator |
工藤 雄一郎 首都大学東京, 人文科学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 古環境変遷 / 狩猟採集民 / 植物質食料資源利用 / 大型植物遺体 / 土器付着炭化物 / 放射性炭素年代測定 / 環境適応 / 最終氷期最寒冷期 |
Research Abstract |
本研究は,更新世終末から完新世前半期の日本列島における人類活動の変遷を,第四紀学的・生態学的視点から,環境の利用形態,人類と環境との相互作用系として理解することを目的としている。具体的には,当該期の遺跡出土の種実遺体を分析し,当該期の植生変化と植物質食料資源利用の変化との関係性を追及することにより,環境変化と人類活動の変化との関係を実証的に検討することである。また,ヨーロッパの当該期の狩猟採取民の生業活動との比較研究から,既存の縄文時代という枠組みを相対比することも目的としている。 これらの目的を達成するため,平成17年度は以下の調査・研究を実施した。 (1)北ドイツにおける最終氷期最寒冷期の適応形態の一事例を示す,ヴィースバーデン・イグシュタット遺跡における一般調査と既発掘資料の調査。 (2)大型植物遺体(種実遺体)分析の基礎となる,現生の比較標本の収集。 (3)東京都東村山市下宅部遺跡における,土器付着炭化物および植物遺体の放射性炭素年代測定の実施と、大型植物遺体の分析による植物利用状態の時間的変遷についての研究。 17年度はこれらのうち,特に(3)に重点を置いて基礎的な資料を蓄積した。これまで下宅部遺跡の土器付着炭化物,種実遺体,木材遺体の合計約90点の試料について,放射性炭素年代測定を実施した。これにより,主に関東平野南部における,縄文海進終了後,考古編年でいえば,縄文時代中期〜後晩期の約2800年間における考古編年の時間的位置づけを明確化するとともに,植物質食料資源利用の変遷についての有効な資料を得た。現在,これらの成果を論文として取りまとめている。
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Research Products
(3 results)