2005 Fiscal Year Annual Research Report
卵活性化機構におけるカルシニューリン制御因子Sra/DSCRIの役割
Project/Area Number |
05J06381
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Research Institution | Tokyo Metropolitan University |
Principal Investigator |
武尾 里美 首都大学東京, 理学研究科, DC2
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Keywords | カルシニューリン / 卵活性化 / ショウジョウバエ / Sra / DSCR1 / 滅数分裂 |
Research Abstract |
Down syndrome critical region 1(DSCR1)ファミリー蛋白質は、酵母からヒトまで高度に保存されており、Ca^<2+>/カルモジュリン依存性脱リン酸化酵素であるカルシニューリン(CN)の調節因子として機能することが知られている。本研究では、DSCR1の生体内における機能を詳細にすることを目的とし、DSCR1のショウジョウバエホモログをコードするsra遺伝子の変異体の表現型を解析し、CNシグナルとの相互作用を調べた。 sra変異体は、30%の個体が幼虫または蛹の段階で致死となり、成虫では行動の異常、未交尾雌における排卵レベルの増加、雌不妊など様々な表現型を示した。このうち、減数分裂の異常を伴う雌不妊の表現型に注目して、詳細な解析をおこなった。sra変異体では、卵母細胞の減数分裂は正常であるが、産卵された卵は、卵活性化直後のステージ(第一減数分裂後期)で停止したまま致死となる。この異常は、生殖細胞系列(germline)でのsra機能欠失によって引きおこされる。 また、生化学的解析、遺伝学的解析により、SraがCNと複合体を形成し、CNシグナルに対して抑制的にはたらくことが示された。germlineにおいてCNシグナルを活性化させると雌の減数分裂が異常となり途中で停止した。一方、germlineで発現するCN遺伝子の変異も減数分裂の停止という異常を引きおこした。これらの結果は、CNシグナルの適切な制御が卵活性化に伴う減数分裂の進行に重要であることを示唆するものである。 本研究は、Ca^<2+>シグナルの1つであるCNが卵活性化において機能する新たな可能性を示した初めての証拠である。今後は、CNの基質や下流のシグナル経路を特定することにより、減数分裂におけるCNシグナルの役割を解明したいと考えている。
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Research Products
(1 results)