2006 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
05J06384
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Research Institution | Tokyo Metropolitan University |
Principal Investigator |
河島 思朗 首都大学東京, 人文科学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | オウィディウス / 『変身物語』 / イタリア:ギリシア / 西洋古典学 / ラテン文学 |
Research Abstract |
本研究は、オウィディウス『変身物語』における物語相互の連関に着目して、作品の解釈を試みるものである。『変身物語』に含まれる多彩な物語群は、個々に独立する物語でありながらも、互いに連関を有している。この理解については先行研究も広く認めるものであるが、個々の物語の理解に影響を与えるような物語同士の内的な連関については、具体的に議論され得る余地はなお多く残されている。 今年度は、第4巻「ミニュアースの娘たちが語る物語」と第10巻「オルペウスの歌」に含まれる物語群に関して、詳細な分析を行なった。第一に、解釈が分かれているsiquid medium est mortisque fugaeque(10巻223行)と言い表される変身の罰に関して考察を行ない、その成果を東京都立大学『哲学誌』48号に発表した。また日本西洋古典学会においては、「重さと軽さ」「大地と空」の要素を中心に「オルペウスの歌」で最初に語られる「ガニュメーデースの物語」と「ヒュアキントスの物語」について、また最後に語られる「アドーニスの物語」と「アタランタとヒッポメネースの物語」について、物語相互の内的連関に関する考察をもとに、新たな理解を口頭発表した。さらに、この発表を推敲した成果が『西洋古典学研究』55号に掲載された。また、「ミニュアースの娘たちが語る物語」に含まれる個々の物語の相互影響関係を分析することで、新たな解釈を見出した。この成果の一部を、ペディラヴィウム会の西洋古典学研究会で口頭発表した。 以上の考察は、物語相互の内的連関について従来の研究を推し進めるとともに、個々の物語の理解を深めるものとなった。さらにこれらの結びつきが、『変身物語』の叙事詩としての統一性を織り成す詩的技法の一部であることを垣間見た。
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Research Products
(2 results)