2005 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
05J06386
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Research Institution | Tokyo Metropolitan University |
Principal Investigator |
五十嵐 由夏 首都大学東京, 人文科学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 視覚 / 触覚 / 感覚間相互作用 / 身体図式 / 手の線画 |
Research Abstract |
絶えず変化している自分の身体の位置を正確に把握するためには,身体の位置感覚である自己受容感覚だけでなく,視覚や触覚などの複数のモダリティからの情報が手がかりとなる.本研究では,視触覚干渉課題(妨害光が触覚刺激と対応しない位置で同時に生じることで,触覚弁別の反応時間・誤反応率が上昇する現象)を用いて,異なる感覚モダリティ間の情報統合および相互作用とそれらを成立させる条件を明らかにすることを目的としている.これまで,直接自分の手を見るだけでなく,鏡やモニター越しなどで間接的に自分の手を見ることでも視触覚相互作用が生じることが示唆されていた.しかしIgarashi et al.(2004)はディスプレイ上の単純な"手の線画"を見ることでも,触覚弁別が影響を受けることを明らかにした.この結果は,視触覚情報の統合に,より高次の(認知的)処理過程が関与しうることを示す.そこで,どのような視覚情報であれば視触覚相互作用に影響を与えるのか検討するために,手を表す文字・方向の手がかりを表す矢印を視覚手がかりとして呈示し,手の線画の効果と比較したところ,視触覚相互作用に影響するのは手の線画特有の効果であることが分かった.この成果は感覚間相互作用を扱う国際学会International Multisensory Research Forumで発表し,論文にまとめたものを現在Acta Psycologicaに投稿中である.手の線画の効果については,電子情報通信学会手の研究会で口頭発表を行い,報告書にまとめた.続いて,視覚と触覚の間の空間対応関係に自身の手の配置がどのような影響を与えるのかについて検討した.その結果,視覚刺激と触覚刺激配列の対応関係が,触覚刺激を呈示している手の自然な姿勢にしたがって決まること,さらに視触覚相互作用には手の内的表象も関与しうることが分かった.これらの研究成果を,学会,研究会,講演会などで報告した.
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Research Products
(2 results)