2006 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
05J06387
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Research Institution | Tokyo Metropolitan University |
Principal Investigator |
高祖 歩美 首都大学東京, 人文科学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 事象関連電位(ERP) / 母語獲得 / 子供 / 成人 / 日本語 |
Research Abstract |
本年度は前年度に続き、統制群データとなる成人の事象関連電位(ERP)データの取得とその成果発表に向けて結果をまとめた。日本語を母語とする成人に対して実施した前年度の予備実験では、意味逸脱のある文ではそうでない文に比べて、N400と考えられる陰性波とP600と考えられる陽性波が観察され、統語逸脱のある文ではそうでない文に比べてP600が観察された。これらは、先行研究の多い欧米言語の結果と矛盾しない。一方で文中に音韻的な誤りのある文を開いた時には、正しい文を聞いた時に比べて、前頭で早期の陰性成分と後頭で後期の陽性成分が観察された。このことから音韻処理を反映した脳内指標が存在することが示唆された。しかし、これまでに、音韻処理に関する神経生理学的データはもとより日本語を扱ったものが皆無であるため、音韻違反文で観察されたERP成分が確固としたものであることを証明することが必要不可欠であった。前年度の予備実験を追試し、結果の再現性を確認することを目的として2度目の予備実験を実施した後、本実験を行った。 結果は、予備実験2でも本実験でも前年度の予備実験と変わりなく、意味条件の非文ではN400とP600が出現し、統語条件の非文では、P600が惹起された。音韻条件の非文では、前頭の陰性成分(潜時400-750ms)およびP600と考えられる後期の陽性成分が認められた。これは、音韻処理を反映したERP指標が存在するという主張を更に裏付ける結果であった。 上述の結果は、2007年6月16日に開催される日本言語学会第134回大会に採択され、口頭にて発表する予定である。
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Research Products
(1 results)