2006 Fiscal Year Annual Research Report
充填スクッテルダイト化合物の純良単結晶育成と特異結晶構造の生み出す新物性の解明
Project/Area Number |
05J06393
|
Research Institution | Tokyo Metropolitan University |
Principal Investigator |
菊地 大輔 首都大学東京, 理学研究科物理学専攻, 特別研究員(DC1)
|
Keywords | 充填スクッテルダイト化合物 / 強相関電子系 / 希土類化合物 / 単結晶 / 試料育成 / 重い電子系 |
Research Abstract |
多極子秩序の可能性が示唆され注目の高まっているSmRu_4P_<12>の純良単結晶育成に成功し、単結晶を用いた研究を進めてきた。SmRu_4P_<12>はT_<MI>=16Kで金属絶縁体転移を示し、さらにT_N=14Kで磁気転移することが報告されており、その起源は未解明である。秩序変数に関する知見を得るために、フラックス法で育成した単結晶試料を用いて磁化および比熱の異方性の有無を調べた。磁化の変曲点(T_Nに対応)から決定した磁場温度相図に顕著な異方性が確認された。また、4T付近で磁化の変曲点の温度が最大値を持つことがH//<100>で特に明瞭である。一方、T_<MI>では異方性は観測されなかった。これらの異方性は単結晶を用いた比熱測定でも同様に観測された。 新奇物性が次々と報告されている充填スクッテルダイト化合物群において、系統的な研究を行うことの意義は大きい。しかしながら、試料作成が非常に困難であるため、砒素を含んだ充填スクッテルダイト化合物の研究、城谷先生らの高圧合成によるいくつかの報告があるという状況であった。今年度、私は高圧合成法を習得し研究室内で協力を得ながら、砒素系の充填スクッテルダイト化合物の試料育成に挑戦してきた。その結果、SmFe_4As_<12>の多結晶試料の育成に成功した。この試料の残留抵抗比はRRR=20であり、高圧合成法を用いて作られた多結晶試料のRRRが一桁であることが多いことと比べると、純良性が高いことがわかる。また、磁化と比熱の測定から、SmFe_4As_<12>は39Kで強磁性転移することを明らかにした。さらに、電気抵抗率の温度依存性において、電子-格子散乱による寄与を差し引いたところ、近藤効果的なρ∝-logTの温度依存性がSmFe_4As_<12>で観測された。
|
Research Products
(2 results)