2006 Fiscal Year Annual Research Report
受動性輸送体タンパク質の機能調節のための膜貫通セグメントの構造と機能に関する研究
Project/Area Number |
05J06431
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Research Institution | Saga University |
Principal Investigator |
平 順一 佐賀大学, 工学系研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | イオンチャンネルペプチド / 合成ペプチド / 二量体ペプチド / ヘリックス |
Research Abstract |
イオンチャンネルとは生体膜を介してイオンを選択的に透過し、生体内の情報伝達を行う重要な膜タンパク質で、安定なイオン透過構造や開閉機構などの高次機能を有している。合成ペプチドを用いてこのようなイオンチャンネルを人工的にデザインすることは、機能性分子創成という観点から有意義である。イオンチャンネルをデザインする場合には、ヘリックスペプチドが母体とされることが多く、これまでに、これらの会合状態を制御し、安定なポアの構築や機能付加を試みた様々な例が報告されている。 イオンチャンネルのデザインには、強いペプチドの会合性を備えた、汎用性の高いテンプレート購造の開発が求められる.本年度は、静電的相互作用によるペプチドの会合促進と、安定なイオンチャンネル形成を目指して、カチオン性およびアニオン性のヘリックスペプチドを架橋した二量体モデル化合物をデザインした。これを単量体ペプチドやホモデティックに二量化した関連ペプチドと比較することで、ペプチドの会合性やイオンチャンネル形成能力の違いを体系的に検討した。モデルペプチドの会合状態を評価したところ、ヘテロ二量体ペプチドは、分子内での静電的相互作用により安定なヘリックス構造をとり、分子内で会合することが示唆されたのに加え、イオンチャンネル活性測定の結果、単量体やホモ二量体よりも著しく低いペプチド濃度で開時間の長いイオンチャンネルの形成が観測された。さらに、ペプチドの会合に非共有結合性の静電的相互作用を用いたことで、pH依存的にペプチドの会合状態およびイオンチャンネル活性が変化することも示唆された。以上より、異なる電荷を持つヘリックス二量体は、ヘリックスペプチドの会合やイオンチャンネル形成に有利に作用し、イオンチャンネル機能を外部の条件を変えることにより変化させることができることが示唆された。
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Research Products
(4 results)