2006 Fiscal Year Annual Research Report
運動による生理的・心理的変化が周辺視野で見る能力に及ぼす影響
Project/Area Number |
05J06459
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Research Institution | Osaka University of Health and Sport Sciences |
Principal Investigator |
安藤 創一 大阪体育大学, 体育学部, 特別研究員(PD)
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Keywords | 運動 / 周辺視野 / 反応時間 |
Research Abstract |
昨年度、高負荷での運動中に周辺視野の反応時間が増加すること、および運動中の周辺視野の反応時間が増加する運動負荷は換気性作業閾値(Ventilatory Threshold)を超える運動負荷であることを報告した(Ando et al. 2005)。この結果は、過換気による生理的変化が運動中の周辺視野反応時間を増加させる要因である可能性を示唆している。しかし、運動中にはグリコーゲンの枯渇、乳酸の蓄積、体温の上昇などの様々な生理的変化が時間経過と共に生じることが知られている。そこで今年度は、過換気による生理的変化が運動中の周辺視野の反応時間の増加に貢献しているかについて検討するために、漸減負荷運動中に周辺視野の反応時間を測定した。併せて運動中の周辺視野反応時間と呼気ガス・心拍数との関係について検討した。その結果、漸減負荷運動中にも換気性作業域値を超える運動中にのみ周辺視野反応時間が安静時と比較して増加した。また、安静時の反応時間を基準とした運動中の反応時間の変化(delta RT)は換気量、酸素摂取量、二酸化炭素排出量と有意な正の相関関係がみられたが、心拍数とは有意な相関関係はみられなかった。以上の結果は、過換気による生理的変化がVT以上での運動強度における運動中の反応時間の増加をもたらす要因であること、換気状態が運動時に周辺視野に対して反応する能力の低下の兆候を見る有効な指標となりうることを示唆している。
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