2006 Fiscal Year Annual Research Report
近代東京の都市空間における医療施設の展開過程〜禁忌された施設の史的研究〜
Project/Area Number |
05J06462
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Research Institution | Nippon Institute of Technology |
Principal Investigator |
勝木 祐仁 日本工業大学, 工学部, 特別研究員(PD)
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Keywords | 都市史 / 建築史 / 病院 / 医療施設 |
Research Abstract |
本年度は主に以下の3項目について研究を進捗させた。 1.19世紀後半イギリスにおける病院建築関連史料の収集・分析 本年度前半は、カナダ・モントリオールにおいて在外研究を行い、19世紀イギリスの病院建築理論に関する史料を収集しだ。明治期日本の建築家による病院建築論が1850年代イギリスで理論化されたパヴィリオン式病院を前提としており、その理論的・建築的モデルの把握が重要と考えられたためである。また、収集史料の分析から、それらの一部が、日本の建築家の病院建築論に直接的影響を与えていたことを明らかにした。 2.震災復興期に建設された東京市立病院の建築図面収集と配置計画の分析・評価 関東大震災後の復興期に建設された7つの東京市立病院について、建築図面の収集を完了した。そこで、建築的実態について、まず配置計画について分析・検討を行った。検討により、市立病院の配置計画を決定づけた様々な要因を捉えることができたが、人々に忌避された伝染病院をいかに都市内に成立させるかという問題も見いだされ、本研究課題において、その点が最重要と考えられた。そこで、忌避された施設の都市における存立の技法という観点を中心に、震災復興期における東京市立病院の配置計画について考察の取り纏めを進めている。 3.近代東京に建設された民間病院リストの作成 明治39年度以降、『警視廳統計書』には、東京市内に存在した病院の一覧が掲載されている。そこで、各年度の『警視廳統計書』に掲載された病院をリスト化することで、明治末年から昭和戦前期までの東京に存在した民間病院の総体と、各病院の存続期間について概要を把握した。明治39年以前に存在した病院の名称や『警視廳統計書』に掲載のない所在地等については、他の資料を用いて、リストの情報を拡充させた。今後、このリストの整備を進めつつ、近代東京の都市空間における病院の展開過程を明らかにしていく。
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Research Products
(1 results)