2005 Fiscal Year Annual Research Report
マルチモーダル通信環境に柔軟に対応可能なトランスポートプロトコルに関する研究
Project/Area Number |
05J06551
|
Research Institution | Kyushu Institute of Technology |
Principal Investigator |
塚本 和也 九州工業大学, 情報工学研究科, 特別研究員(DC2)
|
Keywords | マルチモーダル通信環境 / トランスポートプロトコル / ハンドオフ / 複数コネクションでの並列転送 / フレームの再送回数 / シームレス / ユビキタス環境 |
Research Abstract |
本研究では、本年度以下の二つの項目について調査を行った。 1.ハンドオフ時の通信品質劣化を防ぐハンドオフ決定指標に関する検討 2.提案機構の実装及び評価 まず計算機シミュレーションによって様々なハンドオフ決定指標の有効性を検証した。具体的には、Mobile IPなどの既存のハンドオフ管理手法を用いた場合、ハンドオフ時に大きく性能が劣化することを示した。これに対し、本研究では無線区間の通信品質劣化を迅速に検知可能なハンドオフ決定指標としてLayer 2情報に着目し、評価の結果「フレームの再送回数」が通信品質の劣化の開始直前に発生し始めることを示した。以上の研究成果をIEEE VTC-fall 2005において報告した。 次に、このフレームの再送回数の有効性を実環境で調査し、無線区間の通信品質を示す一般的な指標である「電波強度」と比較した。その結果、電波強度は(1)移動、及び遮蔽物、(2)電波干渉、の二つによる通信品質の劣化を検知出来ない一方で、再送回数は上記の二つの項目を検知できるため、ハンドオフ決定指標として利用できる可能性を明らかにした。以上の研究成果を電子情報通信学会、IN研究会において報告し、フレーム再送回数の有効性については、internet-draftとして投稿し、標準化活動も平行して行っている。 その後、これまでに提案した「複数コネクションを利用したハンドオフを実現するマルチモーダル環境に対応可能なトランスポートプロトコル」がフレームに再送回数を基にハンドオフを決定するように機能拡張し、計算機シミュレーションによってその性能を調査した。その結果、フレーム再送回数を状況に応じて適切に設定することで、多様な通信環境においても、通信品質を劣化させることなく、ハンドオフを実現できることを明らかにした。 また、これと平行して、提案機構のLinuxカーネルへの実装を進めている。現在までにほとんどの機能の実装が完了し、今後はこの実装を基に提案機構の有効性を実環境で検証する予定である。
|
Research Products
(8 results)