2005 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
05J06577
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Research Institution | Gifu University |
Principal Investigator |
平野 好幸 岐阜大学, 大学院・医学系研究科, 特別研究員(PD)
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Keywords | 咬合咀嚼 / 知的機能回復 / fMRI / 高齢者 / 前頭前野 |
Research Abstract |
近年在宅診療に携わっている歯科医療の現場で、歯牙欠損部位に補綴処置を施し咀嚼機能を回復させると、QOLの向上や痴呆軽減がしばしば惹起されることが注目されている。そこで本研究では、機能的磁気共鳴画像(fMRI)法を用いて高齢ボランティアの高次脳機能が咬合咀嚼刺激により上昇することを、神経科学的に解明することを目的としている。 この目標を達成するために、今年度は以下の研究を実施した。 1.ボランティアにより個体差の大きい知的機能の推移を評価するためには、ボランティアに合わせた難易度の記憶課題を繰り返し行う必要がある。難易度の調節を行うことができる作業記憶課題の作成を行った。 2.知的機能の評価を正確に行うために、ボランティアへの記憶課題の提示を磁気共鳴画像装置と連動させるとともに、ボランティアの応答を記録するシステムを構築した。 3.上記の装置を利用し、健常若年ボランティアに作業記憶課題を遂行させた時の脳活動の咬合咀嚼刺激に対する影響をfMRI法を用いて検討した。咬合咀嚼刺激としては、無味無臭のガムベースを1Hzの頻度で1分間チューイングさせた。その結果、左背外側前頭前野を含む外側前頭前野において作業記憶課題の遂行とリンクしてfMRI信号の増加が認められた。課題を繰り返すにしたがってこの部位の信号増加は減少していくが、咀嚼運動を行った後の試行では、信号増加の回復が認められた。また、作業記憶課題の正答率は咀嚼運動後に向上することが確認できた。 以上のことから、咬合咀嚼刺激は知的機能の回復を促進する可能性が推察された。
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