2005 Fiscal Year Annual Research Report
G(糖)タンパク質細胞質領域を欠損させた狂犬病ウイルスの作出
Project/Area Number |
05J06598
|
Research Institution | Gifu University |
Principal Investigator |
山田 健太郎 岐阜大学, 連合獣医学研究科, 特別研究員(DC2)
|
Keywords | 狂犬病ウイルス / Gタンパク質 / 細胞質領域 / 神経細胞間伝播 / 粒子形成 / 神経病原性 |
Research Abstract |
狂犬病ウイルスは神経指向性のウイルスであるが、その神経細胞間伝播機構について詳細は明らかではない。本研究は狂犬病ウイルスの神経細胞間伝播に感染性ウイルス粒子の形成が必要であるのか否かを、感染性粒子の形成に重要であるG(糖)タンパク質細胞質領域を欠損させた狂犬病ウイルスを作出し、この欠損ウイルスの性状解析することで明らかにすることが目的である。 細胞において発現プラスミドによりGタンパク質を供給することで、構築したウイルスゲノムcDNAよりGタンパク質細胞質領域欠損狂犬病ウイルスが効率的に回収された。また、ウイルスゲノムcDNAには感染細胞を生きたまま可視化するために予めGFP遺伝子が挿入されており、実際この欠損ウイルスの感染した細胞においてGFPの発現が確認された。マウス神経芽細胞腫由来NA細胞において、野生型に比べ著しく低効率であるが欠損ウイルス感染細胞のフォーカスの拡大が認められた。欠損ウイルスが感染したNA細胞の上清中の感染性粒子数を測定したところ、その粒子数は野生型を感染させた場合に比べ100万分の1に低下していた。また、感染細胞においてGタンパク質の機能の一つであるpH依存性膜融合活性についてハムスター腎由来BHK-21細胞で検討したところ、野生型感染細胞ではpH5.6以下で細胞膜の融合による巨細胞が認められたのに対し、欠損ウイルス感染細胞ではpH5.0〜6.4において膜融合活性は認められなかった。このことから細胞質領域欠損によりGタンパク質の機能が変化したことが示唆された。6週齢のマウスへ脳内接種したところ、野生型はマウスに神経症状を伴う致死的感染を起こしたのに対し、欠損ウイルスではマウスに致死的感染・体重減少を起こさず、高度な弱毒化が確認された。2-3日齢の乳飲みマウスへの脳内接種を行ったところ、欠損ウイルスは乳飲みマウスに対し神経症状を伴う致死的感染を起こしたが、野生型に比べ必要致死量の増加および生存日数の延長が認められた。これらの結果は狂犬病ウイルスの神経病原性発現には感染性ウイルス粒子の形成が必要であることを示唆している。 今後は、発現vectorによる細胞質領域欠損Gタンパク質の機能解析と欠損ウイルスのマウス脳内における動態を検討する予定である。
|
Research Products
(1 results)