2005 Fiscal Year Annual Research Report
バベシアの赤血球感染機構関連蛋白質を用いた組み換えワクチンの開発
Project/Area Number |
05J06610
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Research Institution | Gifu University |
Principal Investigator |
高畠 規之 岐阜大学, 連合獣医学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 原虫 / バベシア / 赤血球 |
Research Abstract |
バベシアはマダニによって媒介され、熱帯、亜熱帯地方の畜産業に対し大きな経済的被害を与える赤血球に寄生する原虫である。しかしながらいまだ有効な治療薬やワクチンがない。バベシアが宿主の赤血球に侵入することが、発熱、貧血などの臨床症状を引き起こす主因であり、また原虫の生存に必須な機構であることから、赤血球を認識する原虫側の分子は、理想的なワクチン候補、あるいは薬剤ターゲットとなると考えられる。マウスバベシアの感染耐過血清を用いたBabesia rodhaini cDNAライブラリーのイムノスクリーニングによって同定されたBr-7は、その予想アミノ酸配列から一回膜貫通型の膜蛋白質をコードしていると推測され、その細胞外ドメインの一部が、赤血球侵入関連因子であるPlasdmoium yoelii yoelii235 kDa rhoptry proteinとアミノ酸配列で25%の相同性を示した。そこでBr-7の赤血球侵入に関する機能を解析した。[結果と考察]大腸菌で発現させた組換えBr-7に対するマウス抗血清はB.rodhaini感染赤血球を抗原としたWestern blot解析において120kDaの蛋白質を認識した。また間接蛍光抗体法では赤血球内分裂虫体および赤血球外虫体に蛍光が観察された。続いてバキュロウイルス-昆虫細胞発現系を用いて組換えBr-7を作製し、その赤血球吸着活性を調べた。その結果、組換えBr-7がマウス赤血球に吸着することが明らかとなった。以上の成果は、Br-7が次の赤血球に侵入する準備が整った虫体に発現し、マウス赤血球表面と直接作用することによって、B.rodhainiの赤血球侵入に関与していると考えられる。
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