2006 Fiscal Year Annual Research Report
バベシアの赤血球感染機構関連蛋白質を用いた組み換えワクチンの開発
Project/Area Number |
05J06610
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Research Institution | Gifu University |
Principal Investigator |
高畠 規之 岐阜大学, 連合獣医学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 原虫 / バベシア / 赤血球 / 赤血球侵入 |
Research Abstract |
バベシアはマダニによって媒介され、熱帯、亜熱帯地方の畜産業に対し大きな経済的被害を与える赤血球に寄生する原虫である。しかしながらいまだ有効な治療薬やワクチンがない。バベシアが宿主の赤血球に侵入することが、発熱、貧血などの臨床症状を引き起こす主因であり、また原虫の生存に必須な機構であることから、赤血球を認識する原虫側の分子は、理想的なワクチン候補、あるいは薬剤ターゲットとなると考えられる。 近年のいくつかのin vitro研究によって、数種のバベシアが、宿主の赤血球に侵入する際に、赤血球表面上のシアル酸を認識していることが報告された。我々のグループでは獣医学領域でも最も重要なウシバベシアとウマバベシアで研究を行い、シアル酸を除去した宿主赤血球を用いてこれらのバベシアを培養すると、その増殖が抑えられることを発見した(論文投稿中)。 我々は赤血球表面上のシアル酸の主要な担体であるGlycophorin A(GPA)という糖タンパク質に注目した。GPAノックアウトマウスとマウスバベシアを用いた感染実験の結果、マウス内でのバベシアの増殖は、コントロールと比較して有意に抑制された。特にマウスバベシアの一種であるB.rodhainiではその増殖が完全に抑制された。この結果はin vivoにおいてもバベシア原虫が赤血球に侵入する際、GPA上のシアル酸を認識していることを示唆する(論文投稿中)。現在マウス赤血球表面上のシアル酸、あるいはGPAを認識する分子の同定を試みている。
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