2007 Fiscal Year Annual Research Report
バベシアの赤血球感染機構関連蛋白質を用いた組み換えワクチンの開発
Project/Area Number |
05J06610
|
Research Institution | Gifu University |
Principal Investigator |
高畠 規之 Gifu University, 連合獣医学研究科, 特別研究員(DC1)
|
Keywords | 原虫 / バベシア / 赤血球 / 赤血球侵入 |
Research Abstract |
バベシア症は世界の畜産業に対し、甚大な経済的被害をもたらす原虫病であるが有効な治療法やワクチンはない。バベシアの赤血球への侵入が、発熱、貧血などの臨床症状を引き起こす主因であり、生存に必須の機構であることから、赤血球を認識する原虫側分子は、理想的なワクチン候補、あるいは薬剤のターゲットとなる。 シアル酸のBabesia bovisの赤血球侵入に対する影響を検討し、α2-3シアル酸依存性にB.bovisが赤血球に侵入することを明らかにした(Takabatake, et. al.2007)またGPA-/-マウスについて、赤血球膜上の糖蛋白質の解析と、B.rodhain感染に対する感受性の検討を行ったところ、α2-3シアル酸が減少したGPA-/-マウスは、野生型マウスに対して致死的なB.rodhainiの増殖を完全に抑制し、耐過した。このことがらマウスの赤血球膜上のシアル酸を含む糖蛋白質が、B.rodhainiの侵入に重要な受容体であることが示唆された(Takabatake, et al.2007)。一方で、GpA-/-マウス赤血球で増殖するB.rodhainiの変異体(OB1)が分離された。OB1は、GPA-/-マウス内で活発に増殖するものの、その増殖は感染5日後から抑制され、マウスは耐過した。このGPA-/-マウスの感染抵抗性には脾臓が必須であり、赤血球膜に対する自己抗体価が、GPA-/-マウスでは感染前から感染初期にかけて、野生型マウスより有意に低いが、感染に伴って上昇した後は、野生型マウスと同じレベルであった。これらの結果から、OB1に感染したGPA-/-マウスの脾臓での感染赤血球除去に自己抗体の関与することが示唆ざれた(投稿中)。 これらの知見は、バベシアと宿主の相互作用の解明と、効果的なワクチンの開発に寄与するものである。
|
Research Products
(3 results)