2005 Fiscal Year Annual Research Report
X線高分解分光・撮像および多波長観測による星形成領域のX線放射機構の解明
Project/Area Number |
05J06650
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Research Institution | Rikkyo University |
Principal Investigator |
辻本 匡弘 立教大学, 理学部, 特別研究員(PD)
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Keywords | X線天文学 / 星形成 / 希薄プラズマ放射 / X線結像光学 / 多層膜鏡 |
Research Abstract |
2005年7月のAstro-EII衛星(「すざく」)が成功裡に打ち上げられた。しかし、XRS検出器の不具合により一切の観測ができなくなり、またXIS検出器も打ち上げから時間が経つにつれて徐々に性能が劣化している。本研究計画は、すざく衛星を用いた研究課題を設定しているが、上記の不測の事態を受けて研究計画の順序を入れ替えることにした。具体的には、3年目に予定していた星形成領域からの拡散X線放射の起源を理解する研究を初年度に前倒しで行うことにした。まず、チャンドラ衛星で得た銀河系内最大級の星形成領域W49Aを長時間観測し、電離水素領域から高温プラズマの拡散放射を検出した。この拡散プラズマが、形成中の早期型星から放出される星風によるショック加熱で説明できると議論して、論文にまとめ投稿した。また、すざく衛星の観測により、同様の高温拡散プラズマがArches星団にも付随していることを確認した。さらに、すざく衛星により、M17領域の低温拡散プラズマを観測した。すざくの両データは現在解析中である。 平行して進めている装置開発では、直入射X線望遠鏡を開発し13.5nmの軟X線で回折限界イメージを取得することが3年間の目標である。主鏡・副鏡を多層膜コーティングすることでX線反射率を高め、直入射を実現する。また副鏡を可変形状鏡にすることで、光学系のずれを吸収する。形状鏡の補正はレーザー光を用いて制御する。初年度は以下を行った。(1)真空・冷却システムを整備して、必要な真空度・温度を常時達成できるようにした。(2)レーザー点光源を用いて可変形状鏡を閉ループ制御し、可視帯域での回折限界像を取得した。(3)X線CCD検出器を安定運用できる体勢にした。(4)レーザー光とX線信号を分けるフィルタを作成した。現在、X線を照射しながら、可変形状鏡の閉ループ制御ができるところまで到達した。結像されたX線信号が捕らえられているか、現在慎重に検証実験を進めている。
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Research Products
(4 results)