2006 Fiscal Year Annual Research Report
フィリピン人の国際移動の「女性化」とその移動過程の分析
Project/Area Number |
05J06669
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Research Institution | Rikkyo University |
Principal Investigator |
西口 里紗 立教大学, 社会学部, 特別研究員(DC1)
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Keywords | フィリピン / 移動過程 / 国際労働力移動 / 移民システム |
Research Abstract |
本年度においては前年度に実施した在日フィリピン人および外国人集住地域におけるフィリピン人以外の多様な外国人の社会環境についての、聞き取りおよび観察の結果を考察する中で、現在注目している「移民システム」理論とどのように関わるのか、という点についての考察が不十分であった事が課題となった。つまり、理論的枠組みにおいて調査と理論の乖離をどのような形で接合することができるか、という課題である。 異なるフィールドで得られた調査結果を理論化したものとして、「移民システム」論が注目されてきてはいるものの、各先行研究を見ていくにつれて、フィールドの特殊性、固有性が強調され、現時点では理論として抽象度の高い形にまとめられている段階にないことが明らかとなってきた。先行研究ではそれぞれの調査における「移民システム」の形はある程度明らかになるものの、それが他の調査に適用できる形にまとめられているわけではない。つまり「移民システム」という概念あるいはアイディアをそれぞれの研究者がさまざまなレベルで援用しているという段階であるということができる。 このように、先行研究についての整理を進めていくことで、この「移民システム」論についての疑問、あるいは限界を把握し、その中で本研究をどのような位置づけとしたいのか、という本研究の立場について考察を進めた。この整理および考察は論文に現在まとめている段階であり、脱稿には至っていないが、来年度発表したい。 加えて本年度はプレ調査としてのインタビュー調査をフィリピンで実施する予定であった。しかし家族の発病と入院、自宅療養などの諸事情から、海外渡航が困難となったため、調査と並んで研究の柱である理論を先に進めることとなった。
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Research Products
(1 results)