2006 Fiscal Year Annual Research Report
知的障害者の入所施設から地域の住居への移行における自己決定支援のあり方について
Project/Area Number |
05J06671
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Research Institution | Rikkyo University |
Principal Investigator |
鈴木 良 立教大学, コミュニティ福祉学部, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 知的障害者 / 地域移行 / 自己決定 / 脱施設化 / 質的研究 / 量的研究 / 学際的研究 / コロニー |
Research Abstract |
H18年度は、北海道立太陽の園というコロニーの1)地域移行プロセスの自己決定支援の実態を施設職員、親族、知的障害者の視点から明らかにし、2)施設・地域生活の自己決定支援の実態を知的障害者と職員の視点から明らかにするために、質的・量的リサーチを実施した。 調査方法は、研究目的1)を明らかにするために、職員20名・親族10名・知的障害者66名へのインタビュー調査による質的リサーチを実施した。 次に、研究目的2)を明らかにするために、知的障害者66名へのインタビュー調査による量的リサーチを実施し、さらに、知的障害者66名・職員20名へのインタビュー調査による質的リサーチを実施した。 質的・量的リサーチの結果、研究目的1)に関しては、a)コロニーの施設職員は施設パラダイムを修正・維持しながら地域移行プロセスを展開させていき、b)親族は親亡き後の不安や地域支援体制への不安ゆえに施設退所には否定的感情を抱き、c)知的障害者が居住場所に満足感をもてるかは、居住場所の立地条件、住宅空間の快適さ、世話人・職員との相性、共同入居者との相性、自立・自由感といった事柄に関わり、彼らの思いは、職員側が「社会適応能力」を基準に用意した居住場所と合致する場合もあるが、そうではない場合もあることが分かった。研究目的2)に関しては、先行研究と同様に、居住形態別に自己決定の機会に差異があることが明らかになった。そして、日課・飲食・外出といった事柄で居住形態別に自己決定の機会が変化するのは、施設の構造的要因が緩和し、支援関係や支援者同士の関係性が影響するようになるからであり、仕事・金銭・性に関わる事柄で自己決定の機会が変化しないのは、就労・金銭管理システムのもつシステム上の制約やセクシュアリティ規範といった構造的要因が移行後も継続しているからであることが明らかになった。
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Research Products
(3 results)